日本エネルギープランナー協会は、今後多様化するエネルギーの小売りサービスを消費者にわかりやすく伝えるエネルギープランナーを育成するための検定試験を9月に初めて実施する。同協会の盛尚子代表理事は資格取得者がいることは企業にとってもメリットはあると語る。
----:エネルギープランナーの資格は、どのような人たちに向けたものですか
盛代表理事(以下:敬称略):2016年4月の電力小売完全自由化以降に導入されるであろう、様々なサービスや、どんな電源を使うのか、料金体系はどうするのかといったことを消費者が取捨選択するための資格制度になることを考えています。
しかし、まだ日本全体がそこまでの状況にはなっていないのが現状。ただ電力小売完全自由化を目前にして企業も様々なことを考えて取り組みを行っている。エネルギープランナーの資格を取得することで、企業としての取り組みや展開、これから何をやっていくかということをより深く考えることができるし、良いアイディアも生まれるかもしれない。そして国に対してもエネルギーに関する提言をしていくことができるのではないかということも考えると、エネルギープランナーの資格取得者がいることは企業にとってもメリットはある。
----:9月に第1回めの検定試験が行われますが、受験者はどのような方たちですか
盛:9月は初級の試験で、消費者やエネルギーの興味を持っている学生が受験してくれればいいなとは思っているが、やはりまだ認知度もないので、まずはエネルギー業界の企業の方が主体になってくるとみている。
----:エネルギープランナーの資格は初級からエキスパートまで4段階に分かれています。9月の初級の試験以降はどのように展開していくのでしょうか
盛:当初は9月の初級のあとは、中級を12月に、そして来年の3月までに上級の試験を実施しようと予定していたが、あまり急がずにじっくりとした日程を組むこと考えている。というのも、やはり初級と中級の試験を繰り返し行っていかないと、上級のレベルまで達していかないということ。また電力小売完全自由化が来年の4月からなので、国や業界、企業の対応そのものが上級に見合う内容まで固まっていないので、来年3月に上級の試験を実施しても、その後の状況が大きく変わっていく可能性もある。このため、まずは9月の初級、12月の中級を予定している。
----:初級、中級の資格者でも、電力小売完全自由化を受けたサービスに関する様々なアドバイスをすることはできますか
盛:協会としてはエキスパートの資格者にならないとエネルギープランのアドバイスや提言はできないと考えている。ただ初級の知識があれば、一般消費者がどのプランを選べば良いかを個人のレベルで判断しやすくなる。
上級までは筆記試験のみだが、エキスパートになるには面接試験がある。消費者と対峙するエネルギーエキスパートとして協会が認定する上で、やはりその人の人となりや品格をみることが必要という考えに基づいている。
----:研修として導入を検討している企業が金融関係にもあると聞いていますが、金融業界の仕事にエネルギープランナーの資格はどう活用されていくのでしょうか
盛:例えば信用金庫の営業職員が顧客訪問する際に、電力小売自由化後に出てくる様々なサービスで顧客に合った利用プランの説明やアドバイスすることができるようになる。そうすることで顧客との信頼関係がより深められる。
----:自動車を始めとするモビリティにも、エネルギープランナーの活躍場はありますか
盛:自動車という観点からいうと水素エネルギーもこれから大いに関わってくる。「燃料」という観点からもエネルギープランナーは関わっていけると思う。