【スーパーフォーミュラ 第3戦】オリベイラ&星野一義監督、完璧な内容で今季初優勝

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今季初優勝を喜ぶオリベイラと星野一義監督。
  • 今季初優勝を喜ぶオリベイラと星野一義監督。
  • 左から2位の中嶋一貴、優勝のオリベイラ&星野一義監督、3位の石浦宏明。
  • #19 オリベイラが富士戦を制した。
  • スーパーフォーミュラ第3戦の表彰式。
  • #1 中嶋一貴は決勝2位に(写真は予選日)。
  • 前戦優勝の#38 石浦宏明。今回は決勝3位に。
  • 開幕ウイナーの#2 ロッテラーは今回決勝5位。
  • #8 小林可夢偉はスタートで順位を上げるが、最終的には10位だった。

全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)第3戦は19日、決勝日を迎えた。富士スピードウェイでの250km戦(55周)を制したのは、2番グリッドからスタートで首位に立ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ。完璧な内容で今季初勝利を飾った。

予選日は強弱の変化を続ける雨に各陣営が悩まされたが、この日の富士の空は晴れと曇りを行ったり来たりというところ。雨の気配もなくはなかったが、結果的にはドライコンディションでの推移となった。スタート直前の気温は29度、路温は39度。

スタートから1コーナーにかけてのポジション争いは波乱満載だった。大きくポジションを上げた者もいれば、逆に著しく後退したり、あるいはレースを終えることになった者もいるといった具合で、ポジションを上げた側の代表格は、8番グリッド発進から1周終了時2番手となった中嶋一貴(#1 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)、そして6番グリッドから3番手の小林可夢偉(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)である。

一方、残念ながらポジションを下げた側は、ポール発進のアンドレア・カルダレッリ(#20 LENOVO TEAM IMPUL/トヨタ)、予選3~5位の中嶋大祐(#64 NAKAJIMA RACING/ホンダ)、中山雄一(#18 KCMG/トヨタ)、ナレイン・カーティケヤン(#41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)といった面々だった。1コーナー付近では連鎖的な接触アクシデントも発生、そこでリタイアとなったカーティケヤン車を撤去するためにセーフティカー(SC)が入る。また、マシンやタイヤを損傷したカルダレッリ、大祐が緊急ピットインを強いられた(ポール発進のカルダレッリ、決勝最終結果は9位)。

混乱を尻目に、2番グリッドからの好スタートで首位に立ったのがオリベイラ(#19 LENOVO TEAM IMPUL/トヨタ)である。オリベイラはレースが再開された6周目以降、2位の一貴を着実に引き離していった。ピット時期のタイミングで他車が首位を走行した場面こそあったが、オリベイラの実質的な先頭はレース全編を通じて揺るぐことがなかった。

最終的に2位でレースを終えた一貴の言葉が、オリベイラの完勝ぶりを示している。「セッティング的にストレートではJP(オリベイラ)より自分の方が速かったので、SC明けのリスタートは狙いどころでした。狙っていったんですけど、抜けませんでしたね。ただ、あそこで前に出ることができていたとしても、今回は(クルマの仕上がり的に考えて)どっちみちJPには敵わなかったのかな、とも思います」。それくらい、オリベイラのマシンが好仕上がりを見せていたのである。

前日の雨の予選で1-2をかためたインパル勢は、この日の朝のフリー走行、ドライ路面でもオリベイラ、カルダレッリの順で1-2だった。インパルは今季開幕以降もエンジニアリングスタッフ強化を重ねるなどして、地力アップに努めてきている。高橋紳一郎テクニカルディレクターによれば、「開幕戦から前戦までの間にベースセッティングをかなり変えていた」とのことで、しかもその手応えも「前戦である程度つかめていた」という。それが今回の富士で、結果というかたちで花開いた。

「朝の走行からマシンの感触は良く、ドライでも1-2を取れた」とオリベイラもマシンの手応えが高かったことを強調。「レースではスタートが重要だと思っていたけど、僕のスタートは『OK』というレベルで、決してパーフェクトではなかったんだ。ただ、アンドレア(カルダレッリ)のスタートが良くなかったりしてトップに立てた。SCが入ったことで少しトリッキーな展開にはなったけど、ダウンフォース量の違いで直線は一貴の方が速いことは分かっていたので、リスタート前に彼との間隔を調整するようにして、なんとか攻撃をしのぐことができたよ」。その後はほぼ独走、危なげなくオリベイラは勝利した。

オリベイラが所属するインパルを率いるのは、「日本一速い男」「闘将」などの異名を誇る星野一義監督。その星野監督を現役時代から支え続けてきた盟友でありチーム首脳の金子豊さんが5月に亡くなるという出来事もあっただけに、オリベイラとチームにとっては天国に捧げる今季初勝利ともなった。

一貴に続く3位には、予選10位から1周目で7位まで上がり、戦略的にもうまく立ち回った石浦宏明(#38 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が入った。前戦の初優勝に続く表彰台獲得で、石浦はポイントリーダーの座を守っている。4位には石浦の僚友である国本雄資(#39)が続いた。

5位はアンドレ・ロッテラー(#2 PETRONAS TEAM TOM’S)で、6位が平川亮(#7 KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、7位にジェームス・ロシター(#3 KONDO RACING)というかたちで、トヨタエンジン勢が7位までを独占。ホンダ勢最上位は8位で1ポイントを獲得した野尻智紀(#40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。なお、序盤3番手の可夢偉はピットインして以降ペースが上がらなくなって苦戦、最終的には10位だった。

チャンピオン争いは石浦が21点で首位、これをオリベイラが19点で追い、以下、一貴16点、ロッテラー15点、可夢偉と野尻が各8点という形勢へと変化している。

SFの次戦(第4戦)は8月22~23日。栃木県の「ツインリンクもてぎ」にて開催される。

《遠藤俊幸》

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