【メルセデス AMG GT S 試乗】500kmを一気に走ってしまいたくなる…諸星陽一

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メルセデス AMG GT S
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メルセデスAMGのトップエンドを飾るモデルとして存在していた『SLS AMG』の後継となるのがこの『GT』。

SLSでもっとも特徴的だったガルウイングドアは、コンベンショナルなヒンジ式ドアに改められた。この手のスペシャルなスポーツカーの場合、どこまで自分をアピールするかというのはとても大切なポイント。そういう意味ではGTはSLSよりも地味になったと言える。

かつての初代『SL』でもガルウイングが採用されていた。その理由はレースで使う際の乗り降りのしやすさだったが、現代の考え方ならば、ガルウイングよりもヒンジ式のほうがレースでも信頼性が高く、なおかつルーフ部分にヒンジ機構やそれを受け止める剛性材が不要なので、重心を下げられるので有利。そうした性能面から考えると、このヒンジドアは理にかなっていて、いかにもメルセデスらしいと言える。

真横からクルマを見ると、スポーツカーの基本とも言うべきロングノーズ&ショートデッキのスタイルが目を引く。ボンネット内に収められるエンジンはV8のツインターボ。エンジンの両バンクにそれぞれタービンを装着されたいかにもスポーツカーの心臓らしいエンジンで、見た目も美しい。

ボディサイズは4550mmの全長に、1940mmの全幅という堂々したもの。全高はわずか1290mmに抑えられている。当然、シート高も低い位置となるが乗り込みは意外なほど楽。このあたりはさまざまな車種を作り続けているメルセデスならではのノウハウが生かされていると感じる部分。

乗り込んでエンジンを始動する。そのエキゾーストノートの迫力は心を刺激する。ミッションをNのままアイドリングからブリッピングするとエンジンは「ガゥガゥ」と咆哮を奏でる。そのままDレンジに入れ、エンジンが吹けきるまでアクセルペダルを踏み込みたい衝動にかられるが、さすがに一般道ではそれはかなわないこと。ちょっとしたアクセル操作だけで、免許の存続が危なくなるような速度に達してしまうだけに、慎重なドライビングが必要だ。GT Sのエンジンは4リットルで510馬力を発生するのだ。

ハンドリングはシャープで気持ちいい。そして思ったよりも乗り心地がいい。高速道路に行って、そのまま500kmくらいを一気に走ってしまいたくなるような雰囲気を持っている。その感覚を感じたときに思い出したのがこのクルマの車名。そう、このクルマはAMG GTなのだ。GTつまりグランドツアラー、大いなる旅を楽しむためのクルマだ。高速道路や山の稜線を縫うワインディングを楽しみながら移動するクルマ。それこそがこのAMG GT Sを乗る幸せだ。

その幸せを得るための対価は1840万円。わずかな時間ではあったが、その幸福感を味わえたのは貴重な体験。この感覚を味わうために、努力するという生き方もひとつの道となるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
※非常に高価なクルマのため、★の評価は価格を考慮しないものとした。

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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