【ジャガー XF Rスポーツ試乗】現行最終モデルの100台限定車、熟成極めたドライブフィール…中村孝仁

試乗記 輸入車
【ジャガー XF Rスポーツ試乗】現行最終モデルの100台限定車、熟成極めたドライブフィール…中村孝仁
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既にホームページでも新型の写真が出ているジャガー『XF』。「Rスポーツ」は2リッターモデルをベースに4月に100台の限定モデルとして投入されたモデルである。モデル末期とはいえ、走りの実力はやはりハイエンドラグジャリーセダンに相応しいものだった。

ジャガーのホームページでは意図してであろうか、まだ発売前の新型車が現行モデルと並んで紹介され、大きく「あなたのXFをえらぶ」というタイトルが付けられている。新型を見ると、フロント周りは変更を受けているとはいえ、少なくとも外観上はほとんどマイナーチェンジレベルの変化でしかない。新生ジャガーの顔つきを訴求するうえでも、大きな変化を嫌ったのであろうことが容易に想像できる。

さて、XF Rスポーツ。XFのベースモデル、「2.0 ラグジャリー」をスポーティーな仕様にアップグレードした、その名の通りのスポーティーバーションである。とはいえ、サスペンションやエンジンをチューニングしているわけではなく、あくまでもエクステリアとホイールによってドレスアップしているものだ。ちなみに試乗車が履いていたホイールは2種選べるうち、19インチのアクィラと名付けられたオプション設定のもの。標準は18インチである。

改めて本モデルのプロフィールを簡単に補足しておくと、エンジンは直列4気筒2リットルターボ、240psの最高出力と340Nmの最大トルクを持つ。トランスミッションは8速ATだ。87.5×83.1のボア・ストロークを持つこのエンジン自体は基本的にフォードのエコブーストがベース。現在日本市場でもエクスプローラーに搭載されているものと性能的にも大差ない。ただし、ジャガーのキャリブレーションによるものか、元々静かだったエンジンはさらに静かかつスムーズで、4気筒の場合不可避的に出る2次振動は見事に抑え込まれ、トップエンドに至るまで全くストレスなしに回ってくれる。ダウンサイジングターボによる性能の落ち込みを気にする人がいるかもしれないが、少なくとも2012年まで販売されていたNAの3リットルV6エンジンよりはパワーで僅かに負けるものの、トルクは上回っているし、動力性能的には問題ないと思う。

ちなみみに現行XFは、すべて過給器を装備したエンジンを搭載し、4気筒、V6、V8のヒエラルキーは見事に保たれ、よりパワーが欲しければ、対価を支払う構図が出来上がっている。

だがそのエンジンよりも感心させられたのが、やはり足回りだ。ラグジャリーがベースとはいえ、それなりに引き締まっていて、さらに19インチのオプションタイヤ&ホイールを履いていることもあって、決してソフトな乗り心地と言えるものではないのだが、快適性は全く損なわれておらず、そのバランスの良さは絶妙だ。モデル末期だというのにこれだけシャシーがカチッとしていると、変える必要あるの?という素朴な疑問が湧くほど。それでも変えた理由は、『XJ』同様アルミシャシーにしたかったから。そして軽量化してさらなる運動性能と省燃費を実現したかったからであろう。しかし、そうはいってもほぼ800km弱走行した結果、燃費は11.2km/リットルを記録した。ほとんど高速ばかりだったからこの結果なのだが、これ、公表されているJC08モード燃費にピタリと一致するから驚いた。

XFがデビューしたのは日本市場では2008年。つい先日弟分の『XE』が発表されたが、兄貴分とはいえ負けているのはやはり安全デバイスや装備面のことだ。これは時代の流れだから仕方がないのだが、現行XFには最新鋭の安全デバイスがほとんどついていない。クルーズコントロールもACCではなく、ごく当たり前の速度だけが設定できるもの。アイドリングストップは装備されているものの、ブレーキを踏んだ状態でエンジンが再始動すると、いきなりトルクが出てクルマを大きく揺らすなど、細かい部分の不満点は残っている。しかし、クルマの根本ともいえる走る、曲がる、止まるという要素に関しては今も第一線級。そしてジャガーらしい粘りを持った、非常に接地感の高い乗り味は、最先端のトップランナーだと言っても過言ではない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度 :★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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