東京大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、超小型深宇宙探査機「プロキオン」が目標としていた小惑星2000DP107へのフライバイ(接近通過)を実施しないことにしたと発表した。
東京大学が製作し、超小型深宇宙探査機「プロキオン」に搭載されたイオンスラスタは、3月10日の運用終了数時間後、金属ごみによるイオンスラスタ内部のスクリーングリッドとアクセルグリッド間の導通(短絡)と見られる事象が発生、高電圧を加えられず加速できない状態となり、3月上旬から定常運転を中断している。これまでチームが復旧作業を継続してきたものの、現在も回復していない。
今後、イオンスラスタが回復した場合でも、残された期間で小惑星2000DP107に向かうための地球スイングバイ条件を整えることができない。
このため、チームは目標としていた小惑星2000DP107へのフライバイを実施しないことを決定した。
また、小惑星2000DP107よりも容易で、科学的成果が得られる距離まで接近できる小惑星は見つかっていないなど小惑星接近観測に関しては厳しい状況にあるとしている。
ジオコロナ観測装置LAICAによる観測や、その他の工学実証実験の継続など、今後の「プロキオン」の運用については、関係者で協議していく。