【ホンダ ジェイド 試乗】静粛性の高さとロードノイズの遮断は秀逸…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ ジェイド
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  • ホンダ ジェイド 後席エアコン吹き出し口
  • ホンダ ジェイド3列目席 俯瞰

ホンダが新提案する都市型多人数乗用車、3列シート、6シーターモデルが『ジェイド』だ。

全高はルーフアンテナを除くと1500mmしかなく、当然、重心もセダン並みに低い。リヤサスペンションも『オデッセイ』の3-4代目に準じるマルチリンクを採用し(現行オデッセイはスペース効率重視のトーションビーム)、セダン同等のステアリングの応答性、操縦安定性を目指しているのだ。そして乗り心地は『アコード』が目標だというのだから志は高い。

プラットフォームはノーズ部分が欧州『シビック』、その後ろが3-4代目『オデッセイ』。しかしボディー剛性は18インチタイヤを楽々履きこなしていた4代目オデッセイ比でねじり方向20%、曲げ方向で70%増しと強化されている。ステアリングはハイレシオ化され、デュアルピニオンEPS(パワステ)のシャフト剛性もアップするなど徹底している。

1.5リットルエンジンと1モーターのスポーツハイブリッド i-DCD、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)によるジェイドの走りはどうか(試乗車はXグレード)。

走りだし、最初の交差点を曲がってまず驚かされたのは、ステアリングの効きの良さ、応答性の良さだった。まるでスポーティなワゴンを走らせているかのような、低重心感覚、人車一体感がある。活発な走りを試みても、曲がりやすさは抜群。ホンダはセダン並みの操縦性…というが、それ以上に気持ちいいドライビング感覚である。

乗り心地はさすがに「ミニバンのカタチをしたスポーツカー」と言えるオデッセイ アブソルートのように固くなく、なかなか快適だ。凸凹が大きめのゼブラゾーンを走破してもしっかりしたボディーによって不快なショック、突き上げ感、振動は皆無に近い。

それは思いっきり低重心ゆえ、足回りを固める必要がなく、乗り心地面で有利なリヤマルチリンクサスペンションを採用し、乗り心地に気づかったチューニングが可能だったからにほかならない。

しかし、ジェイドに乗ってもっとも感動したのは静粛性の高さだった。乗り込み、ドアをバスッと閉めた瞬間から外界と遮断されたような静謐(せいひつ)感が漂ったほどだ。そして走り出してからも素晴らしく静かだ。スタイリッシュかつ低全高なボディーの空気抵抗値はセダン並み。なおかつ防音材、吸音材をふんだんにおごり、フロアをフラット化。さらにホイールハウス内側にフェルトを張り、これでもかっの一手として、ホンダ最上級サルーンのレジェンドにしか採用されていなかった「ノイズリデューシングホイール」をXグレードに大奮発したことが大きい。

ノイズリデューシングホイールとは、ホイールに多孔樹脂パネル=レゾネーターを張り付け、タイヤ内部で発生する騒音、つまりパコンとかポンという音を発するタイヤ共鳴ノイズを打ち消し消音する機能を持つ、ホンダ独自の特許技術を採用したホイールのことである。

試乗当日は雨模様だったが、それこそ路面の雨をはね上げる騒音はほとんど耳に届かず、まるで乾いた路面を走っているようだったのである。エンジンを4000回転ぐらいまで回しても耳障りなノイズは車内に侵入せず…というか、いい音を聴かせてくれたのだからゴキゲンだ。

加えて、デュアルクラッチを持つセミAT(基本はMT)の7速DCTも進化していた。現行フィットで採用されたミッションだが、ジェイドではMT感を残すギクシャク感など皆無。まるでATのようなスムーズな変速と、MTベースゆえのステップ感ある加速フィールが気持ちいい。

そんなジェイドはホンダが説明するように、独身、あるいは子離れ層のカップル(×2)の乗車でこそ満足できる、後席ニースペースがアコード+65mmもあるワゴンライクな4+2シーターである(決して6人フル乗車して不満のないミニバンとは思わないように)。Xグレードなら先進安全装備も満載。もちろん、お薦めはホンダセンシングやノイズリデューシングホイールを装備した、室内を明るく演出するアイボリー内装が選べるXグレードである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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