日本の三菱重工業・三菱商事・日立製作所・近畿車輛とフランスのタレス社の5社連合は2月20日、カタールの首都ドーハで計画でされている地下鉄システム(ドーハメトロ)の受注内示をカタール鉄道(QRC)から獲得したと発表した。
ドーハメトロは、レッドライン・グリーンライン・ゴールドラインの3路線で構成される、総延長約86km・32駅の鉄道システム。このうち52kmが地下区間となり、2014年4月に開港した新ドーハ国際空港や旧市街、高層ビルが立ち並ぶウエストベイ地区、ルセール地区などの市内主要部を結ぶ。完成は2019年10月の予定。都市交通システムとしては「世界最大規模のプロジェクト」になるという。
5社連合は今回、車両や信号設備、受配電設備、通信設備、ホームドア、軌道工事、トンネル換気設備、検修設備、車両基地の建設などからなる、全自動無人運転の鉄道システムを一括で受注。完成後は最長20年に渡る保守業務も含まれる見込みだ。
三菱重工が5社連合のリーダーとしてプロジェクトマネジメントとシステムインテグレーションを手掛け、日立もプロジェクトマネジメントの一部を手掛ける。各設備は受配電設備とホームドア、軌道工事、トンネル換気設備などを三菱重工が担当。軌道や電車線などインフラの安全性をチェックする総合検測車と一部のメンテナンス設備は、日立が供給する。
車両は三菱商事と近畿車輛が225両(75編成)を供給。タレスは無線方式の列車制御装置(CBTC)を用いた信号システムと通信・保安システム、総合運行管理センター、自動料金収受システムを担当する。
5社連合によると、ドーハでは人口や自動車の急激な増加で交通渋滞が深刻化しており、カタールは公共交通機関の整備などを掲げた開発基本計画「カタールナショナルビジョン2030」を策定している。また、2022年には同国でFIFAワールドカップが開催されることから、ドーハメトロはワールドカップ会場へのアクセス交通機関としても重要な役割を担うことが期待されているという。
5社連合は今回の受注を機に、「中東市場での受注拡大をめざし、地域のさらなる発展ならびに環境負荷軽減に貢献していきます」としている。