経済産業省は、WTOが日本、米国、EUの申立てに基づき審理してきたアルゼンチンの輸入制限措置について、GATT第11条第1項(数量制限の一般的廃止)に整合しないとの日本政府の主張を全面的に認めたと発表した。
アルゼンチンは2008年11月以降、各種産品に関して輸出入均衡要求、事前輸入宣誓供述制度、非自動輸入ライセンス制度などを導入。これらの措置によって自動車、家電、電子製品など、多様な品目について日本からアルゼンチンへの輸出が停滞・遅延する影響が生じた。このため、日本は2012年8月、米国とアルゼンチンに対してWTO協定に基づく政府間協議を要請、同年9月にアルゼンチンと協議を開始。協議結果を踏まえて同年12月、米国、EUとともに、WTOに対してアルゼンチンの輸入制限措置について紛争処理小委員会(パネル)での審理を要請し、これを受けて2013年1月にパネルが設置された。
WTOは2014年8月22日、アルゼンチンの輸入制限措置について、GATT第11条第1項(数量制限の一般的廃止)に整合しないとの日本の主張を全面的に認めるパネル報告書を公表。アルゼンチンは、パネルの判断を不服として上訴した。その後、上級委員会会合で両国による口頭弁論が行われ、今回、上級委員会はアルゼンチンの輸入規制措置に関する報告書を公表した。
上級委員会報告書では、日本、米国、EUの主張を全面的に認め、パネル報告書を支持し、アルゼンチンにWTO協定に従って措置を是正するよう勧告した。
当事国は、公表から60日以内にWTO上級委員会に対して上訴することが可能。上訴がない場合、パネル報告書の内容でWTOとしての判断が確定する。