今治造船は、今年10月に西条工場で竣工予定の20万6600載貨重量トン型ばら積み運搬船に、次世代型居住区「エアロ・シタデル」と、新日鉄住金が開発した高延性造船用鋼板「NSafe-Hull」をダブル装備すると発表した。
ダブル装備とすることで、海賊から船員を守る居住区の安全性に加え、衝突安全性の高い鋼板を船体に適用、安全性の向上を図る。
「エアロ・シタデル」は、2013年6月に竣工した9万5000載貨重量トン型ばら積み運搬船「IS NEXTER」に初めて搭載され、昨年も「シップ・オブ・ザ・イヤー2013」を受賞した。居住区の外側にあった階段を内部に収納することで、海賊の侵入を防ぎ、船員の安全・快適な航海を支える機能を強化するとともに、上部構造の形をスリムな流線形にすることで、風圧抵抗を削減する。
新日鉄住金が開発した高延性造船用鋼板「NSafe-Hull」は、従来の施工性を維持しながら、高い延び性を持つことで、船舶の衝突安全性の向上に貢献する新しい鋼板。船舶に適用した場合、船舶側面から衝突された際に穴が開くまでの衝撃吸収エネルギーが約3倍となり、船体に穴が開きにくくなる。
海上技術安全研究所との衝突シミュレーションで高い安全性が確認されており、浸水防止や貨物保護、深刻な環境汚染につながる油流出防止の役割も担う。
今回適用するばら積み船には、貨物倉船側部、燃料タンク部などの高い衝突安全性が求められる場所に、合計約2000トンの「NSafe-Hull」を適用する予定。