ブリヂストン『REGNO』のブランドコンセプトは、タイヤに必要とされるすべての性能を高い次元でバランスさせる「グレートバランス」。8日に発表された「GR-XI」「GRV II」もこの例外ではなく、静粛性だけでなく乗り心地や環境性能まで従来モデルより高められたという。
具体的にどのような部分が改良され、どのように性能が上がったのだろうか。発表会に登壇したブリヂストン タイヤ開発第2本部長 川原隆弘氏のプレゼンテーションから、まず静粛性関連の技術について掘り下げてみよう。
ブリヂストンのタイヤの中で、スタンダードモデルが『NEXTRY』シリーズなら、環境性能を追求した『ECOPIA』、極限のスポーツ性能を高めたものが『POTENZA』である。REGNOはその中では、走行性能や快適性に優れ総合的な付加価値が最も高い製品という位置づけがされている。1981年に始めて市場に投入された「GR-0」から34年間、その地位を守っている。
1984年、俳優ショーン・コネリーを起用した「ディープだ」の「GR-03」CMを覚えている人も少なくないのではないだろうか。また、一度でもREGNOを履いた車に乗ったことがあるなら、その静かさは誰もが認めるところだろう。この静粛性を追求する技術は、じつは2000年に発表された「GR-7000」から、技術的なパラダイムシフトが行われている。
川原氏によれば、GR-7000までのREGNOは、ブロックパターンの形状を工夫したりピッチを変えたりすることで、音を分散させたり位相をずらして打ち消したりというアプローチでノイズを抑えていた。しかしGR-7000以降は、「消音器」によって音を吸収させることで大幅な消音効果を発揮するようになる。タイヤの消音器はサイドブランチ型と呼ばれる車やバイクのマフラーに応用されているものと同じ原理を、タイヤの溝で実現する。具体的にはタイヤの縦溝に横方向の切れ込みを入れることで、マフラーチャンバー内の機構を再現するのだ。
今回のGR-XI、GRV IIでは「ダブルブランチ型消音器」と呼ばれる新しいパターンが導入された。ダブルブランチ型では、縦溝に刻まれたブランチを反対側にもつなげ、途中に空間を作ることで、消音効果を従来のGRシリーズよりも向上させている。
スチールベルトとトレッド面の間に挿入するノイズ吸収シートも、構造と素材の見直しが図られ振動ノイズを低減させた。また、音響工学によって音を抑えるだけでなく心地よい音を作るという工夫もなされているそうだ。
これらの新技術投入により、騒音エネルギーの低減率は、荒れたアスファルトで5%向上(GR-XT比較)、平坦なアスファルトでは15%も静粛性が向上したという。