【池原照雄の単眼複眼】増税で遠のく500万台ライン…15年の国内新車市場

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◆「20年度燃費基準」主体でハードル高まる新エコカー減税

2014年の国内新車市場は前年を3.5%上回る556万台と3年連続で500万台を超え、07年以降では最多となった。消費税増税に伴う3月までの駆け込み需要が効いたほか、過去最高を記録した軽自動車が健闘した。問題は今年2015年だが、需要の先食いによる回復の遅れに、エコカー減税の見直しと軽自動車税の増税による負担増が重くのしかかる。3月までは再び駆け込みの現象が出るものの、その後は低調で、500万台到達は厳しい展開となろう。

昨年は消費税増税に翻弄された新車販売だが、15年も「税」がポイントとなる。12月30日に与党が決定した15年度の税制改正大綱は、自動車にはきつい内容となった。今年度で期限切れとなるエコカー減税が15年度から2年間延長されることになったものの、減税や免税のハードルが現状より全般的に高くなるからだ。

エコカー減税は、燃費性能などによって新車購入時の自動車重量税と自動車取得税を減免する措置(取得税の減税は一部中古車にも適用)だ。今年度で終了となる現行のエコカー減税は、政府が定めている2015年度燃費基準などを基に免税や減税幅を決めているが、15年度からは、2020年度燃費基準を主な尺度とすることになった。一部で15年度基準も適用するが、全体として、より高い燃費性能が減・免税の適用基準となる。


◆当初案より圧縮も500億円規模の増税に

同時に重量税、取得税ともに、減・免税の適用段階が細分化される。重量税(登録乗用車で0.5トンにつき年4100円)は、現行では50%または75%減税、免税の3段階だが、15年度からは本則税率(同、年2500円)の適用をはじめ、25%、50%、75%の減税、さらに免税と5段階になる。同様に取得税(登録乗用車は取得価格の3%)についても、現行の60%または80%減税、免税の3段階に20%または40%減税を加えた5段階となる。

こうした新たなエコカー減税制度は、当初、20年度燃費基準のみを適用する案もあった。その場合、日本自動車工業会(自工会)の試算では年間1000億円強の増税と見込まれていた。結局、15年度燃費基準も部分的に適用することで、増税幅は年500億円規模(与党試算)に圧縮された。それでも増税は増税だ。


◆4月以降は軽自動車も冷え込む

新制度で免税になるのは、ハイブリッド車(HV)やクリーンディーゼル車、さらにクラスでトップ級の燃費性能をもつ軽自動車などとなる。これらは現状と変わりないが、免税から外れたり、減税が圧縮あるいは適用外になるクルマも出てくる。そうしたクルマを近々購入しようと考えている人は3月までの年度内購入にメリットがある。また、昨年度に決まっていた軽自動車税の1.5倍増税(年7200円から1万0800円へ)も15年度の購入車から適用となるため、3月までの駆け込み需要が顕在化するだろう。

こうしたことから1~3月は、消費税増税前の駆け込みで高水準だった14年レベルには届かないものの、まずまずの需要となる。4月以降はエコカー減税での免税が適用されるHVやディーゼル車が頑張る展開となろうが、市場をけん引してきた軽自動車が息切れするなど、相当な冷え込みが必至だ。

昨年末の取材で自工会の池史彦会長(ホンダ会長)、マツダの国内営業を担当する稲本信秀取締役専務執行役員は、異口同音に15年の国内市場が「厳しいものになる」と話していた。その時点で14年の市場規模は500万台半ばが見通せる状況だったものの、稲本専務は「足元の需要実感から相当かけ離れているレベル」とも指摘した。今年は、過去3年続いた500万台ラインが遠のく展開となりそうだ。
《池原照雄》

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