国土交通省は、今年1月14日に成田空港で発生した日本航空(JAL)が運航するボーイング『787』のバッテリー不具合に関する調査結果をまとめた。
B787のバッテリー不具合は、成田空港で地上駐機中に整備士が、機外に煙が漂っていること、メインバッテリーと充電器の不具合を示すメッセージが表示されていることを確認した。また、8つのバッテリーセルのうち、1つの安全弁の作動を確認した。
調査結果によると、メインバッテリーの第5セルが過熱・損傷し、同セルの安全弁が作動した。電解液のガスはダクトを通じて排気口から外部に排出され、バッテリー覆い箱の周辺機器への影響はなかった。バッテリー監視装置(BMU)とバッテリー充電装置(BCU)に異常はなかった。第5セルに隣接する第6セルは、一部熱の影響が確認されたものの、機能的には問題なかった。不具合発生後も、過熱した第5セル以外の全てのセルについて機能上の問題はなく、運航の継続に必要な機能は維持されていた。
このため、昨年の事案を踏まえて講じた対策が、セル間の過熱の伝播、バッテリー全体の損傷の防止に有効なものであったことが確認されたとしている。第5セルの過熱は、内部短絡によるものと推定。内部短絡を引き起こす可能性のある要素として、金属片の混入やリチウム金属の析出、電解液の漏れ、セル・ワインディングの皺などの関与を検討した。しかし、過熱を引き起こすことを裏付ける客観的な事実を確認することはできず、原因は特定できなかった。
国交省では、3段階の対策のうち、第2段階と第3段階の対策が適切に機能したことにより、運航の安全性が確保されていたものの、利用者の安心を確保する観点から、潜在的な要因について、更に検討し、セル・バッテリーシステムの信頼性向上が必要としている。
このため、ボーイングが設計改善などの検討を加速し、実施する設計変更に係る認証の早期取得と、設計変更の航空会社への早期提供に取り組む必要があると指摘。航空会社も設計変更を早期に採用・実施する必要があるとしている。
国交省航空局は、これらを実現するため、FAA(米連邦航空局)、ボーイング、運航者などと緊密に連携していく方針。