ハーレーダビッドソンには、最上級モデルとなる特別仕様車「CVO」(カスタム・ビークル・オペレーション)というグレードがある。これはスタンダードモデルをベースにフルコンプリートし、受注生産するファクトリーカスタム。純正パーツ&アクセサリーで構成され、そのクオリティーは折り紙付きだ。
そのCVOに、2015年モデルで新たに設定されたのが『FLHXSE CVO ストリートグライド』だ。通常版の『ストリートグライドスペシャル』よりも112cc増しの1801ccエンジンを搭載し、シリンダーヘッドを水冷化。吸排気系もリファインされたVツインエンジンは、アクセルを開けた途端に鋭くダッシュし、トルク、鼓動感、すべてが異次元といえる。
ステレオもオートバイの枠組みを超えた。フロントには6.5インチスピーカーを2つ、リアサドルケースには5x7インチの3ウェイスピーカーを配備し、これを専用装備となる300Wの高出力アンプでドライブ。6.5インチのタッチパネル式ディスプレイではイコライザーも操作でき、屋根のないオートバイのシートで、これほどにまでクリアかつ迫力のあるサウンドが聴けるとは、驚くほかない。
まばゆいばかりのエクステリアは、ハンドペイントとミラーコーティングによって仕上げられ、手描きのエアフローグラフィックのハイライトで徹底的に飾られている。
そのアーティスティックな佇まいを目の当たりにすると、このままガレージに眠らせておきたいと思ってしまいそうになるが、バイクは走ってナンボ。ハーレー最大最強エンジンがもたらすパワフルな走りを満喫しなければ、もったいない。
税込み422万円という車両価格に臆して、走り出しは慎重だったが、ハイウェイクルージングは快適そのものだし、コーナリングも思いのほか軽快。ついついスピードレンジが上がってしまう、モンスタークルーザーだ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
快適度:★★★★
タンデム:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在、多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。