【池原照雄の単眼複眼】「ホンダセンシング」で安全技術を巻き返す

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歩行者事故低減ステアリング
  • 歩行者事故低減ステアリング
  • 路外逸脱抑制機能
  • 次期レジェンドとなるアキュラ RLX(参考画像)
  • 本田技術研究所 山本芳春社長
  • スバル レヴォーグ 2.0GT-S
◆歩行者事故を防ぐ世界初の機能も搭載

ホンダが自動ブレーキによる衝突回避機能などを統合的に備えた安全運転支援システム「ホンダセンシング」の技術内容を公表した。12月に発売する新型『レジェンド』に搭載する。車線を逸脱して歩行者との衝突が予測された場合にステアリングを自動制御する「歩行者事故低減ステアリング」という世界初の技術も含まれ、事故予防につなげていく。

「緊急ブレーキなどの展開は多少遅れたが、着々とやっていきたい」。技術発表会で、本田技術研究所の山本芳春社長(ホンダ専務執行役員)は、新技術の普及加速に意欲を示した。たまたま、この技術発表の前日には自動車事故対策機構(JNCAP)による衝突被害軽減ブレーキと車線逸脱警報装置の「予防安全性能評価」結果が公表された。国内乗用車メーカー8社の26車種を試験したものだが、ホンダの評価はいまひとつだった。

この評価では富士重工業(スバル)の『レヴォーグ』、トヨタ自動車のレクサス『LS』、日産自動車の『スカイライン』の3モデルが「満点」で最高点を得た。だが、ホンダのモデルで満点は不在だった。JNCAPの試験内容を見ると、「ホンダセンシング」を搭載した車両は、間違いなく満点レベルとなろう。要は市場投入が遅れてきたのである。

◆総合的な性能は「アイサイト ver.3」と似通う

ホンダセンシングのセンサーは、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせだ。レーダーは自車から遠方の状況を把握するのに秀でており、ホンダセンシングの場合、乗用車だと前方120m程度、トラックのような大型車両だと同150m程度まで確認できる。カメラの方は歩行者や道路の白線、標識などの認識を得意とする。研究所の山本社長は、この2つのセンサーについてコストなども勘案すると「ベストの組合せ」と指摘する。

レヴォーグに搭載されている富士重の「アイサイト ver.3」の前方センサーは、カラーのステレオカメラ(2眼)のみだが、高い機能を発揮している。今後は、カメラの種類やレーダーとのセットなど、企業が求める性能やコストに応じて多彩な組合せとなっていこう。ホンダセンシングは、前述のように一般道での歩行者事故などを防ぐステアリング制御が特徴ではあるが、他の自動ブレーキや車線維持支援機能などの総合的な性能は、アイサイト ver.3と似通っている。

◆気になるトヨタは近く技術発表へ

衝突被害軽減ブレーキは、すべて性能を保証するものでなくいわば「目安」が前提だが、アイサイト ver.3の場合、追突を回避できる前方車両との速度差は、約50km/hとしている。これに対しホンダセンシングは、技術発表資料には具体的な数値は示していない。技術陣にあえて質すと、「相対速度差が40km/hから50km/h程度」(本田技術研究所の小高賢二主任研究員)ということだった。

一方、将来の自動運転技術にもつながる車線維持支援機能や、低速域から前方車両と適切な車間距離を保って追随する「アダプティブ・クルーズ・コントロール」も、両者は共に備えている。このうち、車線の中央部を走行するようにステアリングを補助操作する車線維持支援機能は、自動車専用道のみの作動を前提に、アイサイト ver.3もホンダセンシングも時速65km/h以上から機能する設計となっている。

ホンダセンシングは、まずレジェンドという同社の高級車からの導入となるが、山本社長は「車種展開を急ぎたい」という。すべての機能を展開するのでなく、車両に応じて機能を選択できる仕組みもつくりたいと話している。いずれにしても、ユーザーが幅広く選択でき、かつ安価な負担で済むよう各社の競争に期待したい。気になるのは、トヨタが衝突被害軽減ブレーキについては、まだ高級車(高額車)しか導入していないこと。15年から順次搭載を進める計画だが、近く技術発表も行われるようなので、またリポートしたい。
《池原照雄》

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