ネオジム磁石より使用量を低減したレアアース濃度の磁石化合物、物質・材料研究機構が合成に成功

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物質・材料研究機構、科学技術振興機構
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物質・材料研究機構・元素戦略磁性材料研究拠点の宝野和博フェローのグループは、ハイブリッド自動車の駆動モータとして使われているネオジム磁石よりも少ないレアアース濃度で、同等以上の磁気特性を持つ新規磁石化合物「NdFe12Nx」の合成に成功した。

ハイブリッド自動車用モータには、ジスプロシウムを8%程度含むネオジム磁石が使用され、使用量が急増しているが、ジスプロシウムやネオジムなどのレアアースは、原料の地政学的リスクが高いことから、これに頼らない磁石の開発が求められている。

今回、新たに合成に成功した新規磁石化合物NdFe12Nxは、ネオジム磁石のレアアース量より10%も低い量で、同等以上の磁気特性を持つことを確認した。

これまでの研究で、NdFe11TiNは、安定に合成できる磁石化合物だが、磁性を持たないTiが添加されているため、磁化はネオジム磁石より劣り、注目されてこなかった。今回の研究では非磁性元素のTiを使わずにNdFe12Nx化合物の比較的厚い膜の合成に成功、固有物性値を測定したところ、これまで最強のNd2Fe14Bを凌ぐ磁気特性を持つことを発見した。

この化合物の磁気特性は高温に対応できるため、この化合物で磁石をつくることができれば、ハイブリッド自動車用磁石で大量に使われているジスプロシウムを使わなくても高い磁石特性が得られると見ている。

また、レアアース使用量を大幅に削減でき、高価なホウ素を必要としないため、資源的・価格的に有利な化合物となる。今後、実用的な磁石の実現に向け、NdFe12Nxを粉で大量につくる方法や、その粉を磁石の形に固めていくプロセスを開発する。

《レスポンス編集部》

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