ドイツ・フランクフルトで9月16日から20日までの5日間の会期で行われている世界最大の自動車アフターマーケット見本市「アウトメカニカ・フランクフルト2014」。
今年は新たに「トゥモローズモビリティ」と呼ばれる展示を、ホール10のワンフロアすべてを使い行っている。
ホールに入ると正面に日本の大手化学メーカー、東レのブースが存在する。アウトメカニカは初出展である。モビリティの未来を題材にした展示コーナーという趣旨に東レはクルマをイノベーションする素材群を持ち込んだ。
「BMW『i3』の登場で炭素繊維のボディ利用が話題になっていますが、このブースでは炭素繊維で補強したプラスティック材を利用したEVやPHV用のバッテリーケースや炭素繊維製のプロペラシャフトを展示提案しています 」と話してくれたのは同社自動車材料戦略推進室の森本厚志氏。
「我々はこの展示会を機会に欧州での売り上げを伸ばしたいと考えており、日本車にはすでに先進的に使われていて、未来の欧州車を環境性能やデザインの分野で変えてゆくことができる素材をアピールしています。『プリウス』にも使われているPPS樹脂フィルムや糸の紹介などもその一つであり、日本では軽自動車にも使われている“PICASUS”というナノ多層積層フィルムのデモンストレーションも多くの欧州企業に見てもらいたいと考えています」(森本氏)。
PICASUSという金属調のフィルムは、ポリエステルを素材としながらも1000以上の厚さの違うナノフィルムを重ねることで、ちょうど太刀魚が金属でもないのに金属調の光沢と質感を持つように、クルマの内装に金属調のデザインをあしらえるという。またこの素材の大きな特徴は光を通すことで、金属面に文字やアイコンを表示することができる。
「現在、完成車メーカーさんから外装材にも使いたい、という要望をいただいています。PICASUSでグリルやバンパーを作ることができると電磁透過性の高さを生かしたミリ波レーダーやレーザー発振器やアンテナをカーデザインを損ねることなく未来のクルマに埋め込むことが可能になります。クルマの外装材としての耐久性を上げるよう開発を進めています」(森本氏)。
トゥモローズモビリティの他のブースには、電動車両を中心とした出展が多い。電動のキックボード、一人乗りの超小型車、スタイリッシュな電動バイク、レトロなデザインの観光地用EV。EVにエスプレッソマシンがビルトインされたルノー『トゥイージー』でカフェタイムも可能だ。
初代『ビートル』や『トラバント』のEV改造車を試乗するコーナーも併設されている。