【フォード フィエスタ 試乗】時代を越えて、大人になった最新型…吉田匠

試乗記 輸入車
フォード フィエスタと吉田匠氏
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フォード『フィエスタ』と聞くと懐かしい気分になるのは、その初代モデルに試乗した経験があるからだ。時は1977年、場所はイギリス、某専門誌のスタッフとしてヨーロッパ取材中に、広報車を借りて乗ったのである。それは、全長3570mm弱、全幅1570mmという小柄な3ドアボディを40psの1リットル4気筒と4段MTで走らせる前輪駆動車で、キビキビした走りが印象的だった。

それから現代に飛んで最新モデルだが、ボディは全長4000mm弱ながら全幅は1720mmあり、しかも形式は5ドア。エンジン排気量は初代と同じ1リットルだが、3気筒でターボというのが今どきのダウンサイジングユニットらしく、パワーは100ps、トルクは17.3kgmと、初代の2.5倍もある。トランスミッションが6段DCTというのも、時代の先端をいく。

このパワートレーン、乗ってみると特に文句を言うべきポイントは感じられず、意外なほど出来がいい。3気筒とはいえ、アイドリングを含めて不快な振動が気になることはなく、いい感じのサウンドを奏でながら滑らかに回転を上げて、1160kgの車重を充分な勢いで加速させる。さらに、パワーシフトの名を持つDCTのシフトもスムーズに決まる。

しかもフィエスタは脚がいい。乗り心地は適度にソフトにしてしなやかなもので、Bセグメントの小型車としては最良の部類だろう。と同時に、ステアフィールがしっとりしているのも、運転好きのドライバーには朗報である。ステアリングがチルトだけでなく前後調整も効くことも幸いして、ドライビングポジションが自然に決まるのもポイントが高い。

初代と比べるとずいぶん大人になった最新型フィエスタ、同カテゴリーの現代のライバルと比べても、乗り心地を含むフットワークはトップクラスにランクできると思った。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

吉田 匠|モータージャーナリスト
1947 年生まれ。子供の頃からのクルマ好きが高じて、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。同誌ではスポーツカーのロードテストなどを主として担当し、ヒストリックカー、ツーリングカー、FJなどのレースにも参戦、優勝経験もけっこうあり。後にフリーランスのモータージャーナリストとして独立。自動車専門誌や一般誌に記事を執筆し、今日に至る。旧いクルマに造詣が深く、愛車の一台は1962年ポルシェ356B。

《吉田匠》

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