【VW ポロ 試乗】ゴルフ7譲りのエンジンと先進安全装備の充実に見るべき点あり…青山尚暉

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新型VWポロ
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新型『ポロ』…と言ってもVW流のデビュー5年目のMCモデルである。

ポロと言えばかつてのゴルフの大きさ、そう、2代目ゴルフとほぼ同サイズの同社のベストセラーカーだ。ゴルフ7の全幅が1800mmになってしまった今、日本市場における、VWの真のコンパクトモデルの1台がこの5ナンバーサイズのポロということになる(『up!』もありますが)。

実のところMCだから内外装が大改造されたわけではない。エクステリアはフロントグリルや前後バンパー、ヘッドライト、テールランプなど、インテリアは新インフォテイメントシステムの採用でセンターコンソールのデザインが新しくなった程度。とはいえ、顔つきが洗練され精悍になり、新型らしさを発散している。

今回のMCのハイライトはゴルフ7と同じ1.2リットルTSI(ターボ)エンジンやEPS(電動パワーステアリング)、これまたゴルフ7同様のプリクラッシュブレーキシステム(シティーエマージェンシーブレーキなどを含む)、全速度域追従の素晴らしく便利なアダプティブクルーズコントロールの採用にある。

そう、基本的なボディー、プラットフォーム、足回りはそのままに、パワーユニットや安全快適装備を最新のゴルフ基準に引き上げたというわけだ。同時に新世代インフォテイメントシステム、最新のナビゲーションシステムも採用。商品力は大きく高まった。

ただし、2眼メーター中央のインフォメーションが依然として英語表記のままなど(ゴルフ7から日本語に)、デビュー年次(09年)を感じさせる部分がないわけではない。そのあたりはフルモデルチェンジを待たねばならないようだ。

1.2リットルエンジンは90ps/4400~5400rpm、16.3kg-m/1400~3500rpmというスペック。MC前は同じ1.2リットルターボでも105ps/5000rpm、17.8kg-m/1500~4000rpmだったからスペックダウンではあるものの、JC08モード燃費は19.4km/リットルから一気に22.2km/リットルへと向上。時代をより反映した燃費優先の仕様になっている。

早速走らせてみると、つい最近まで訳あって1カ月半乗っていたMC前のモデルに対して、とにかく軽やかに爽やかに走る。エンジンが違うだけでこうも違うのか…と思わずにいられない。スペックダウンしているとはいえ、2ペダルMTとして最上の出来の7速DSGを介した加速力にMC前と大きな違いはなく、例によって素晴らしくトルキーにスムーズに走る。高速道路、登坂路、山道を含め、動力性能的にストレスを感じることなどまずないだろう。

電動パワーステアリングの採用で(以前は電動油圧式)操舵(そうだ)フィールが格段にスムーズになったことや、新エンジンの搭載で静粛性が飛躍的に高まったあたりも、MC前のモデルのユーザーならすぐに分かる部分だ。以前のモデルでは高速走行中、前後席の会話はかなり大声で行う必要があったけれど、新型は100km/h巡行中でも前後席で小声で会話が成立するほど静か。もちろんそれはロングドライブでの疲労感低減にも直結する。

乗り心地に関しては熟成を感じさせるものの、大きな変化はない。国産コンパクトとは一線を画すドイツ車らしい骨太かつあらゆる路面で心地良い乗り味は健在だが、ゴルフ7のような超快適性、路面をなめるような走行感覚には至っていない。穏やかな操縦性も同様だ。ボディーや足回りの変更がないのだからそれは当然だろう。

ところで、現時点の新型ポロのラインアップは基本のコンフォートラインと、装備を充実させ、フルオートエアコン、リヤビューカメラ、全速度域追従型のアダプティブクルーズコントロール、マルチファンクションスイッチ付きレザーステアリング、スポーツシート、アルミホイールなどをおごるアップグレードパッケージ付き車の2タイプ。

新型らしさがあるのはもちろん後者だが、価格は249.5万円とゴルフ7のトレンドライン(258.7万円)に迫るのがちょっぴり悩めるところ(標準モデルは4万円の値下げ!!)。が、全幅1800mmの3ナンバーとなるゴルフ7に対して全長3995×全幅1685mmの5ナンバーサイズで乗れるメリットは極めて大きい。

わが家のように大型犬と暮らしていると、ポロよりゴルフ(ヴァリアント)だが、小型犬と暮らす娘がクルマを買いたいと言い出したら、真っ先に候補に挙げたい1台だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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