東日本大震災で被害を受けた宮城県内の被災地を巡る「ミヤギポークラン」が8月3日に閉幕した。
ミヤギ ポークランとは、東日本大震災で被害を受けた被災地をスタンプラリー形式で周り、テレビなどではなかなか取り上げられない復興の”今”を体験するイベント。今回、宮城県仙台市出身の筆者が、イベントに参加した模様をリポートする。
◆最終チェックポイントは伊達政宗が世界を見つめた地に
時間的な都合もあり、今回の旅の最後のチェックポイントを「石巻市 サン・ファン・バウティスタパーク」とした。ここは、仙台藩主伊達政宗が1613年(慶長18年)に派遣した慶長遣欧使節を乗せた「サン・ファン・バウティスタ」の復元船が展示されている。
当日は穏やかな海と緑が広がっていたが、施設の方に震災の影響について聞くと「全面ガラス張りで、船の脇にあった展示スペースの貴重な資料は全部流され今はオープンデッキのような状態になってしまった。津波で船は大丈夫だったが、その後の強風でマストが折れ、新しく直した」と語ってくれた。
フロアには、震災当時の写真や折れたマストが展示されており、改めて震災当時の恐怖がよみがえってくる。しかし、このような展示をあえてすることで、震災を風化させないのにも一役買っているのもまた事実。表面的にはかなり進んでいる復興も、実はまだまだ道半ばなのだとここでも気付かされた。
サン・ファン・バウティスタ号をあとにし、チェックインはこれで終了したが、来た道を戻るのもと思い、石巻湾に突き出る弁天島の方へと回り帰路につくことにした。しかしこれが意外な発見をもたらした。
弁天島に向かう細い道を進むと、地図にも示されず、テレビにも取り上げられないような小さな漁村が点在していた。そこには、津波の被害を受け、ある一定の高さまでは建物が存在しないという状況が未だ残っており、津波の破壊力、復興完了までまだ道半ばという現実に改めて気付かされた。
◆表彰式、そしてフィナーレへ
翌日の8月3日には、宮城県のスポーツランドSUGOにおいて表彰式、アーティストの野外ライブやトライアルバイクショー、ホンダによる車両展示などが行われ、大人から子どもまで多くの参加者で賑わっていた。
表彰式では、今回のイベントに協力したリバースプロジェクトの共同代表を努める俳優・映画監督の伊勢谷友介氏から上位10人に商品が授与され、参加者の健闘を讃え合った。1位、2位の参加者は夫婦で参戦し、チェックポイント71箇所全てを回ったという。
イベントを主催する東北国際フィルム&アートフェスティバル協会代表の嘉村康祐氏は「各チェックポイントでチェックインしていくうちにゲームにのめり込み、様々な場所で参加者の中に“気付き”が生まれたので、とても手応えを感じている」とイベントを振り返る。
今回参加した宮城県在住の30代の男性は「震災後、何度か被災地には足を運んでいて復興はだいぶ進んだと思っていた。しかしチェックインを進めていく中で、まだまだ復興していないところはたくさんあるのだと改めて気付かされ驚いた」と述べる。
震災から3年が経ちニュースではあまり大きく報道されなくなった東日本大震災の被災地。復興の経過を確認したくて参加したが、実際はまだ道半ばだと感じた。しかし地元の方々は必死に前を向いて元気に復興への道を歩んでいる。
関係者は次回の開催について是非やりたいと口を揃える。実際に足を運ぶことでしか気付けない光景が、そこにはある。