オカザえもんが観光地を推薦…“ゆるキャラ”コラボで繋がる便利と楽しさ、アイシンAW「smart nAVVi Link」

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アイシンAW システム開発部の水野智仁氏
  • アイシンAW システム開発部の水野智仁氏
  • 「smart nAVVi Link(スマートナビリンク)」。なぜAVVが大文字なのかというと、AとVV(Vが2つ)でアイシンAWの「AW」のように見えるからだとか。
  • オカザえもんが観光地を推薦…“ゆるキャラ”コラボで繋がる便利と楽しさ、アイシンAW「smart nAVVi Link」
  • アイシンAW 営業部の井上大輝氏
  • アイシンAW「smart nAVVi Link(スマートナビリンク)」のキャラdeサーチ
  • アイシンAW「smart nAVVi Link(スマートナビリンク)」のキャラdeサーチ
  • アイシンAW「smart nAVVi Link(スマートナビリンク)」のキャラdeサーチ
  • アイシンAW「smart nAVVi Link(スマートナビリンク)」のエコ情報

アイシンAWがスマートフォン向けに提供するアプリ「smart nAVVi Link(スマートナビリンク)」。これは、Bluetoothによりスマートフォンとナビを連携し、カーナビゲーションシステムの使い勝手を向上させる便利アプリだ。

◆実用性のなかにも遊び心忘れないナビ連携アプリ

このsmart nAVVi Linkではスマートフォンで調べた目的地をナビへ転送できる機能に加えて、リモコン機能によるナビのオーディオ操作、エコ運転の記録チェックが可能。さらには友人同士で現在地を共有しながらチャットが可能な「イマドコナビ」など、遊び心のなかにも実用性に配慮した機能群が特徴だ。対応ナビはトヨタ向けディーラーオプションナビ(DOP)の主要モデル7機種と、同じくダイハツのDOPナビ1機種、そして市販向けの富士通テン・イクリプスの2機種。なお、同社が提供するナビアプリ「NAVIelite(ナビエリート)」との連携も実現している。

このsmart nAVVi Link、iOS向けアプリが5月にバージョンアップし、「キャラdeサーチ」と呼ぶ新機能を追加した。これは全国各地の観光課・観光協会とのコラボレーションにより、アプリ上で観光スポット情報が検索・閲覧できるようになっただけでなく、メニューで地域を選択することでご当地キャラクターがアプリに表示される。気に入った場所はナビに転送することが可能だ。コラボ第1弾はオカザえもん(愛知県岡崎市)。

アイシンAWといえば、トヨタやダイハツ、VWなど純正ナビの開発に携わり、カーナビの世界では知る人ぞ知る巨大サプライヤーだ。その同社がなぜここで新たなスマホアプリを開発し、ハードウェア開発にとどまらない領域にまで進出しようとしているのだろうか。システム開発部の水野智仁氏と営業部の井上大輝氏にバージョンアップの狙いとコラボレーションのきっかけについて話を聞いた。

◆ご当地キャラとのコラボでより楽しく便利に

まず水野氏は、「クルマでのドライブを広い視点で考えた時、乗車してからどこかに行こうと思いたつのではなく、乗る前にまずネットやガイドブックなどで検索して調べるものです。そこで、カーナビと繋がって目的地を転送できるアプリを提供することで、ユーザーとのタッチポイントを増やしてドライブの領域を拡大できると考えました」とsmart nAVVi Linkの開発経緯について説明する。

その場合、サービスのキモとなるのは、いかにユーザーに使ってもらえるだけの魅力を備えたコンテンツを入れ込んでいけるかという点だ。

「ドライブに必要な観光地などのスポット情報(POI)は、旅行ガイドブックなどを手がける出版社が提供していますが、そのコンテンツを使うとなると使用料が発生してしまい、無償のアプリサービスを提供していくうえでの支障となります。無料とすることで多くの方に利用してもらうことがこのアプリの目的でしたから」(水野氏)。

そこで目を付けたのは、全国各地の観光協会が持っているスポット情報だ。水野氏と井上氏はこのアイディアを思い立ち、まずアイシンAWのカーナビナビ開発拠点(岡崎工場)がある愛知県岡崎市の観光課にアポイントをとり、情報提供を受けることとした。

「単に観光地のPOIを受け取ってアプリで表示するだけではこれまでのナビゲーション機能とさして変わりません。観光地にはたいてい公認の“ゆるキャラ”がいますので、ゆるキャラがその土地のスポットを紹介するような遊び心も加えようと思ったのです」(井上氏)。

そう、岡崎市のゆるキャラと言えば、あの「オカザえもん」だ。アプリではマップモードで地図の左下に表示されている「i」ボタンをクリックすればキャラと地域を選択することができる。

観光地コラボ第一弾としてスタートした岡崎の場合、登録された観光スポットはおよそ300箇所。もちろん、smart nAVVi Linkで検索したスポットは対応カーナビやNAVIeiteへの転送が可能となっている。「岡崎という良いコラボ例がひとつできたので、これから連携を加速させていきたいですね。すでに北海道から沖縄まで30箇所くらいで交渉中です。smart nAVVi Linkに情報を提供いただくことで、観光地への訪問誘致に貢献したいと考えています」と、水野氏は展望を語る。

◆エンドユーザーのニーズを吸い上げるプラットフォームとしても活用

しかしながら、POIコンテンツの拡充などsmart nAVVi Linkの機能が強化されることで、NAVIeliteやビルトインナビとの境界線はあいまいにはならないだろうか。また、同社のビジネスにはどのような期待や影響があると考えているのだろうか。この疑問に対しては、水野氏は次のように説明する。

「smart nAVVi Linkの生い立ちは、当社ナビ製品の付加価値を上げるために生まれています。このアプリ自体がビジネスに直結するものではありませんが、ナビと繋がって車載器を使いやすくする、魅力を増すという点にフォーカスして取り組んでいます。また、車載器とは異なるアプリ開発の思想やノウハウを逆に車載器にフィードバックして、より良い製品作りに貢献できれば」。

車載器のtoCビジネスを展開していない同社にとって、このsmart nAVVi LinkはナビアプリのNAVIeliteと並んで数少ないtoCサービスだ。井上氏は「ダイレクトにユーザーから意見をいただけるプラットフォームは現状このスマホ向けアプリしかありません。ハードにはすぐに組み込めないような先進的な機能を試す場として、活用していきたいですね。キャラdeサーチを盛り上げていって、ゆくゆくは自治体や観光協会から問い合わせが来るくらいにまで認知度を上げていきたいと思います」と抱負を語る。

なおこのご当地キャラコラボ機能のキャラdeサーチ、これまではiOS版smart nAVVi Linkのみでの提供だったが、7月16日にAndroid版がバージョンアップして同機能が追加された。対応ナビを持っていなくても、もちろんアプリ単体でオカザえもん推薦の観光情報は検索・閲覧できる。登場するゆるキャラがもっと増えていけばエンタメ要素を持ったO2Oアプリサービスとして脚光を浴びる可能性もありそうだ。

《北島友和》

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