【キャデラック CTS 試乗】デザインと走りは秀逸、右ハンドル仕様の導入を望む…河村康彦

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キャデラック・CTS
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これまで2代のモデルが築いたイメージを受け継ぎつつ、多くの人に「ちょっと乗ってみたいナ」と思わせるであろうエクステリアのデザインは、個性的でありつつもなかなかに秀逸。

一方、いかにもアメリカ人好みのラグジュアリーという雰囲気でまとめられたインテリアの質感が、”ジャーマン3”の作品には及んでいないのは、「価格差を鑑みればそれ相応」と解釈をすべき部分か。

本国では3.6リットルV6や、同ツインターボ付仕様も選択可能である中で、日本導入モデルを2リットルのターボ付き4気筒“ダウンサイズ・エンジン”仕様に絞った戦略は、果たして成功と言えるのか微妙な印象。何故ならば、この新型『CTS』は左ハンドル仕様のみの設定。そして、この期に及び“左ハンのキャデラック”に拘る人というのは、恐らく「高級車のエンジンは多気筒で大排気量にこそ価値がある」とする、言うなればちょっとばかり旧い考え方の人とラップをしそうにも思えるからだ。

実際に乗ってみれば、加速のポテンシャルは十二分。ボーズ社製のノイズ・リダクションシステムも功を奏してか静粛性は予想した以上に高いし、時にばね下の動きに多少の重さが感じられるものの、サスペンション自体はしなやかに良く動いている印象。

そして、何よりも好感触なのは、自然で心地良いコーナリング。実はこのモデル、4気筒ならではの軽量、コンパクトさを生かしてエンジンをフロント・ミッドマウントとした上で、前後軸重が完全な50:50配分になっているのだ。

一方で、何とも惜しいのは前述のように、日本のような左側通行市場に対しては“不便で危ない”と言わざるを得ない、左ハンドル仕様での導入が強いられること。GMが経営危機に陥った際、真っ先に“仕分け”の対象とされたひとつの事柄が右ハンドル仕様であったという。しかし、そうは言っても今後もこのままでは、もはや日本では「土俵に上がることすらも出来ない」のと同然であるはずだ。

●パッケージング  :★★★
●インテリア/居住性:★★★
●パワーソース   :★★★
●フットワーク   :★★★★
●オススメ度    :★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

《河村康彦》

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