阪神電気鉄道は6月14日、一部の車両が法令で定められた走行距離を超え、検査を受けないまま走行していたと発表した。
鉄道営業法に基づく国土交通省令では、鉄道車両は車両の種類や運行状況に応じ、自動車の車検に相当する検査(定期検査)を実施しなければならないと定めている。阪神電鉄が運用している旅客列車用の電車の場合、原則として3カ月で状態・機能検査、4年または車両の走行距離が60万kmを超えない期間のいずれか短い期間で重要部検査、8年で全般検査を、それぞれ実施する必要がある。
阪神によると、鉄道事業法に基づく国土交通省の保安監査を受けるため確認作業を実施したところ、一部の車両の走行距離が60万kmを超えていたにも関わらず、重要部検査を実施しないまま数十日から数カ月間、走行させていたことが分かったという。
走行距離が超過していたのは3編成18両。6両ごとに約61・65・66万km走行しており、重要部検査を受けずに走行した超過期間は、それぞれ2013年3月下旬~4月上旬、2013年4月下旬~8月下旬、2013年11月下旬~2014年3月下旬だった。
阪神は管理台帳を付けて検査時期を管理していたが、「走行距離の数値の確認を組織として定常的に行っていなかったこともあり、確認についての責任の所在が不明確であった」という。同社は再発防止策として、全車両の走行距離を確認するための「走行距離一覧表」を新たに作成して管理するとともに、複数名でのチェック体制に改めるとしている。