【KTM 1190 RC8 R 試乗】独自の進化を遂げたSS…和歌山利宏

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KTM 1190 RC8 R(和歌山利宏)
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KTM初のスーパースポーツ(KTMはスーパーバイクと称している)である『1190 RC8』は、2008年に登場し、年々改良が加えられ、洗練され高水準化されてきた。

もっと言えば、そのプロトタイプが初出展されたのは、2003年の東京モーターショーであった。オフロード専門だったKTMがオンロードの分野に進出し、そのイメージリーダーとなるモデルを出展したのだ。

ただ、『990スーパーデューク』の75度Vツインを積んでいたプロトタイプだが、登場した市販車は、フレームだけでなく、エンジンも排気量を1148ccに新設計されていた。その後は、2009年に1195ccの『1190 RC8 R』に改められ、2011年にはツインプラグ化。この2014年型もさらに改良が加えられている。

一般的に、ここ数年の電子制御の進歩によるエンジンマネージメントの高水準化は目覚ましいが、ことRC8 Rに関しては目を見張るものがある。がさつな面も残っていた初代RC8だが、この最新型は洗練され、最高水準にあると言っていい。

車体の基本は初代型から引き継がれるが、エンジンマネージメントとサスペンションのマッチングによって、ハンドリングも高水準化され、素直で扱いやすい。その結果、RC8 R独自の持ち味が一層、際立っているのだ。

足着き性はスーパースポーツとして良好と言えないまでも、シート高調整機構によって20mm低くセットすることができるのがうれしい。燃料タンクをやや大柄に感じ、ハンドルは少々遠くにあるが、比較的上体がアップライトなため、多くのスーパースポーツほど先鋭化しておらず、いい意味でカフェレーサー的な往年の趣きがある。

もちろん、マシンのコントロール感はスーパースポーツそのもので、『デューク』がKTM独自のものであることからすると、RC8 Rはあくまでも普通。スーパースポーツという言葉からイメージするほど、先鋭化していない。

その代わり、比較的柔軟なフレームを通して、マシンからの情報が豊かに届き、操っている感覚も濃厚で、かつマシンは忠実に応えてくれる。中回転域から高回転域に向かってトルクがリニアに立ち上がっていき、新型は一層、スロットルでマシンを操りやすい。

しかも、この本領発揮域で、どこか冷静にマシンを見つめ、状況を判断できる。これは多くのサーキット指向が強いマシンにはない持ち味だ。ひょっとすると、これはKTMの土壌がオフロードにあることの現れかもしれない。サーキット指向が強いマシンなら的確にリズムの乗れば速く走れるが、オフロードでは常に状況を把握し対処しなくてはならないからだ。

その意味で、サーキット性能に特化しておらず、真のスーパースポーツとしていいだろう。KTMのスーパースポーツには、他にない独自の持ち味に溢れているのだ。

《和歌山 利宏》

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