アイシン精機は、加藤専務役員が社長として赴任された北米だけでも31社の開発、生産、販売の拠点がある(世界では21か国、186社)。アイシン精機の「AISIN Group VISION 2020」(2012年発行)では、目指す姿を「かけがえのないグローバルパートナー」としている。同社は、トヨタグループの企業であるが、今では、国内外のあらゆる自動車メーカーと取引があり、世界の自動車産業の潮流は、トヨタ以上に読み取っているのではないかと思う。こうした企業が世界の競合と戦い、勝ち抜いているところに、日本の自動車の底力がある。
では、未来はどうなのであろうか。「AISIN Group VISION 2020」では、2020年までに売上を2010年比で約5割増やし、海外売上高比率を現在の3割強から5割に伸ばす計画が示されている。世界の主戦場である米国、そしてこれから本格的にモータリゼーションが勢いづく新興国での販売増が重要であることは言うまでもない。しかし、もう一つの方向として、私が注目したいのは、自動車の要素技術を応用した新技術・新規商品の開発である。