タイヤをはじめ、世界有数の巨大自動車部品サプライヤーとしても知られるコンチネンタルは「人とくるまのテクノロジー展」開催に合わせ、メディア向けラウンドテーブルを開催した。そこで明らかにされたのは、先進運転支援システム(ADAS)に関するロードマップだ。
自動運転に向けたセンシング技術を開発
最初に、シャシー&セーフティ部門プレジデントのフラン・ヨーダン氏が登壇。自動運転の実現までのロードマップ説明から入った。それによると、普及が進むADAS関連技術は、2016年までには部分的な自動運転が実用化され、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年頃にはより高度な領域に到達。さらに2025年頃には高速道路領域での完全自動化された運転環境が実現するようになるとしている。
その背景として、ユーロNCAP(ヨーロッパ新車アセスメントプログラム)で2013年より自動緊急ブレーキ評価がスタートし、2016年には対歩行者性能の試験も追加。また、日本ではESCが2014年中に普通乗用車だけでなく軽乗用車にも義務づけられ、同時に自動緊急ブレーキシステムはすでに急速に普及し始めている。この背景の下、これに関連する技術は着実に自動運転への実現へ進んでいくと説明した。
これに対してコンチネンタルは、自動運転に向けた先進安全装備として、これまでに数多くのドライバーをアシストする様々なセンシング技術を開発。レーダー、カメラ、ライダー技術をそれぞれの分野で開発を行い、車種に合わせた最適活用を図ってきているとした。
また、「人とくるまのテクノロジー展」の会場では、コンチネンタルが開発した最新の自動車用部品を展示。自動運転に向けた様々な最新技術を見ることができた。なかでも注目だったのは、赤外線ライダーと単カメラを組み合わせた製品で、赤外線で対象物までの距離を測りつつ形状や車線認識を行える単カメラを一体化している。プロトタイプでの展示だったが、ローコストで赤外線ライダーの弱点を補えられるのが特徴とする。
高速道路における期待大きい日本
続いて、同じくシャシー&セーフティ部門 取締役会メンバーであるクリストフ・ハゲドーン氏が「コンチネンタル・モビリティ・スタディー2013」で行った調査結果も発表した。
それによると、日本のドライバーは高速道路での自動運転を期待値が極めて高く、それ故にADAS市場に対して高い将来性が見込めると判断できたという。とくに日本のドライバーは大多数が運転を楽しんでいる一方で、交通量の増加はストレスになると感じ、これがADASの経験が自動運転への受容にもつながっていると見る。加えて、自動運転が高品質で効率的、かつ経済的な製品として誕生することを願っている人が多い。つまり、ここに的を絞ることで、ADASの市場は飛躍的に伸びていくと判断しているとする。
ハゲドーン氏は、「日本では単に効率重視ではなく、品質と経済性を兼ね備える、ローコストなシステムの導入が期待されている。その意味でコンチネンタルにとってもこれは大きな挑戦になる。しかし、コンチネンタルがこの事業を継続することで、必ずやこの事業が成功裏に結びくことができると信じている。日本のドライバーは、部分的な自動運転の実現により、渋滞などによる日頃のストレスから解放される日は近い」とコメントした。