近畿日本鉄道(近鉄)と大阪府、東大阪市は5月16日、近鉄奈良線で実施している連続立体交差事業(連立事業)について、9月21日の初発から上り線(大阪難波方面)を高架線に切り替えると発表した。これにより上下線とも高架化が完了する。
この連立事業は、大阪府を事業主体とする都市計画事業。東大阪市内の近鉄奈良線八戸ノ里~瓢箪山間4.6kmのうち約3.3kmを高架線に変更し、若江岩田・河内花園・東花園3駅を高架化する。1992年9月に都市計画が決定し、1993年2月の事業認可を経て2003年1月から工事に着手。2010年5月30日に下り線(近鉄奈良方面)が高架線に切り替えられた。
今回の上り線高架化で上下線とも高架線に変更され、事業区間内にある9カ所の踏切が全て解消される。ただし上り高架ホームへの経路は一部が未完成のため、若江岩田駅は本設駅舎完成までの間、仮設階段と仮設エレベーターを設置。エスカレーターは高架切替後のホーム拡幅工事にあわせて整備する。河内花園駅は本設階段と仮設エレベーターを設置し、高架切替後のホーム拡幅工事にあわせてエスカレーターを整備する。東花園駅は切替当初から本設の階段・エレベーター・エスカレーターが利用できる。既に高架化されている下り線ホームへの経路は各駅とも大きな変更はない。
また、今回の高架化で東花園駅の中心位置が東方向に移動するため、同駅の営業キロが布施起点5.6kmから5.8kmに変わり、東花園発着の一部区間で運賃が変更される。主な区間の変更額は、興戸~東花園間の普通旅客運賃(大人・片道)が現在より70円安い490円。定期旅客運賃(大人通勤・1カ月)は近鉄日本橋~東花園間が現在より520円高い1万800円、近鉄奈良~東花園間が480円安い1万5250円になる。普通旅客運賃は迂回(うかい)経路を除き、値上げになる区間はない。