スズキは、タイで開催中のバンコクモーターショー14で『セレリオ』を出品した。
セレリオは今年2月のデリーモーターショー14でワールドプレミアされた、1.0リットルエンジンを搭載する新型小型車だ。インドと欧州向けには、5速MTと新開発の5速AMT(オートギヤシフト)が組み合わされるが、AT車が80%を占めるタイ市場では、副変速機付CVTと5速MTのトランスミッションが用意される。
また、第一期エコカー減税における“5年以内に10万台生産”という条件をクリアするためのモデルであり、2012年発売の『スイフト』に続く適合車として、生産を行う。スズキ・モーター・タイランドの杉山隆之社長は、「今月末に締め切られる第二期エコカーについては、別途申請する方向で政府と交渉している」と話した。
2014年はタイ国内で5万台を生産予定、うち1万5000台をセレリオに当てる。価格は現時点では未定だが、「1000ccという少排気量のため、他社エコカーよりも安くしなければならないと考えている」(杉山社長)という。販売目標台数についても、タイの経済状況、輸出の関係上欧州の経済状況を見ながら、今後設定したいとしている。
輸出比率は60~70%を占め、豪州への輸出も検討中だ。チーフエンジニアの鈴木茂記氏は、デリーモーターショー14の際に、「一番始めに投入する市場をインドに設定しながら開発を進めた」と語っていたが、杉山社長によれば「4年前に開発がスタートした当初から、タイでの生産・輸出が決まっていた」というセレリオ。インドではAMTを採用し悪路や燃費向上に対応する一方で、タイをグローバルでの生産・輸出拠点として位置付けるモデルでもあると言える。
杉山社長は「今までマーケットのなかった所に切り込む形になるが、トレンドとしては燃費が良く小さい車はタイの中でも求められるようになるだろう。スイフトはどちらかというと、他の車より車格もエンジンも大きいモデルなので、今回小さい方に振ってみて、おしゃれな女性などにターゲットを絞って売っていきたいと思っている。日本でいう軽自動車のように使い勝手の良い車なので、その点で需要があるのではないか」と語る。
また、タイの自動車市場については「今年の販売台数は全体で95万~105万台くらいではないか。政情不安などもあるが、潜在的に200万台までは伸びる市場ではないかと考えている」との見解を示した。