矢野経済研究所は、国内における超小型モビリティ市場の調査を実施し、その結果を発表した。
調査は2013年8月から2014年2月の期間、超小型モビリティ関連事業を展開する企業、および関連団体・官公庁・自治体等を対象に、同社専門研究員による直接面談及び、電話・Eメール等によるヒアリング、文献調査を併用して行った。
その結果によると、2013年の超小型モビリティ国内販売台数は4000台で、そのほとんどが電動ミニカーだった。現在、法人ならびに地方自治体・団体を中心に超小型モビリティ車両が保有されており、個人が保有しているケースは少ない。今後も2人乗り小型EVの規格が創設されるまでは個人ユーザー市場は拡大せず、国内販売台数は2013年と同程度の規模で推移するものと予測する。
超小型モビリティの普及は、低炭素社会の実現や、人口減少や高齢化といった環境変化に直面している地域社会における新たな移動手段となる可能性とともに、自動車産業に新たな市場を創出するものとしても期待されている。自動車メーカーや関連企業をはじめ、これまで自動車産業との関連がない異業種からの新規参入も相次いでいる。
今後の普及については、2人乗り小型EV(電気自動車)の規格動向が鍵を握る。2013年~2015年までは超小型モビリティ導入促進支援事業による取り組みが継続し、2016年に2人乗り小型EVの車両規格が創設されることを前提として、2つの普及シナリオによる市場予測を行った。
2人乗り小型EVが電動ミニカー・電動トライク寄りの規格で創設された場合、超小型モビリティ市場規模は国内販売台数ベースで2016年には5万7000台、2025年には19万台になると予測する。主に自動車メーカーが市場を牽引し、自動車メーカーの展開する量産車両をベースにした2人乗り小型EVを中心に普及が進むものと考える。
また、2人乗り小型EVが軽自動車寄りの規格で創設された場合、超小型モビリティ市場規模は国内販売台数ベースで2016年には2万8000台、2025年には7万2000台になると予測する。自動車メーカー以外の異業種からの参入企業等によって市場が牽引されることを想定し、2人乗り小型EV、電動ミニカー、電動トライクの各車種もそれぞれの特性が利活用され、普及が進むものと考える。