国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、富士重工業、九州大学は共同で、運転者の状態や注意方向を検知し、周囲の車両の運転者や歩行者と共有する技術を開発した。
開発した技術によって周囲の運転者、歩行者はこれまで見えなかった運転者の状態を知ることができ、危険を未然に回避することが可能となる。
ATRは、運転者の注意方向を検知し周囲に提示する装置を搭載した車両による実車デモンストレーションを公開した。この研究開発は、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業による研究委託「認知状態共有による交通事故低減技術の研究開発」により実施している。
今回開発した技術は、運転者の状態を、周囲の運転者や歩行者と共有することで、事故の未然回避を図るもので、画像解析によって運転者の状態をリアルタイムで検知する技術を開発した。
車内に設置したカメラにより運転者の注意がいつ・どこに向いているかを顔向きの変化から推定する。運転者の注意方向を評価用データベースと比較することで運転状態(運転の適切さ)を評価する。
検知された運転者の状態・注意方向を、その運転者が運転する車両に設置した表示装置に提示するシステムも開発した。装置では、高輝度のLEDを利用して運転者の注意方向を表示するとともに、システムが運転者の状態を周囲の運転者や歩行者と共有すべきであると判断した場合、その状態を示す。また、無線技術を利用して検知された情報を周囲の車両の車載装置に提示する方法についても開発を進めている。
今後は、運転状態の検知・評価精度の向上など、実用化に向けて解決しなければならない技術的課題を明らかにし、それらの課題を解決するとともに、普及に向けた活動を推進する。。