【クラリオン NX 513 インプレ】マップルナビ5採用、スマホ対応でエントリー機超える最量販モデル…会田肇

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膨大なデータの中から行きたい場所を簡単に絞り込めるようにした「まっぷる おでかけBANK」
  • 膨大なデータの中から行きたい場所を簡単に絞り込めるようにした「まっぷる おでかけBANK」
  • 「マップルナビ 5」搭載のクラリオン「NX513」
  • 旅行ガイドブック感覚で楽しめる「まっぷる」は約130冊分を収録
  • 車速パルスとジャイロセンサーが加わったことで、ビル街の谷間でも安定測位が期待できる
  • 「Smart Access」をインストールしたスマホと連携することでより充実したドライブが楽しめるようになる
  • 「YoouTube」を連続して再生可能になるアプリ「LoopTube」
  • Bluetoothによるハンズフリー通話にも対応
  • 道の駅レコメンド機能

この冬商戦において、クラリオンが販売するカーナビで最も売れ筋のモデルが『NX513』だ。ラインナップ全体を見れば比較的廉価なモデルということもさることながら、それを超える充実したスペックを備えているのが最大の理由だ。

クラリオンの最量販モデル

NX513は、実を言うと日本国内向けだけに開発されたモデルではない。海外では『NX503』として販売されているグローバルモデルで、世界共通のプラットフォームを採用し量産効果を上げ、価格を押し下げるという手法を採用している機種なのだ。日本で販売されるインダッシュ型ナビの多くが操作系を右側に用意する中で、左側にあるのもそうした理由が背景にある。

それだけに価格面でのメリットはかなり大きい。日本で販売されている価格を調べると5万円前後(2014年1月末日現在)! FM-VICS付カーナビ機能を備え、DVD/CDが再生できて地デジ(ワンセグ)も楽しめるのだ。これこそ、まさにグローバルで展開することでハードウェアのコストを節約できた結果と言っていいだろう。

◆性能は十分以上、スマホ連携にも対応

価格が安いとなると疑いたくなるのがそのスペックだ。だが、その疑いは使ってみればすぐに晴れる。上級にも迫る充実したスペックは、これで一体何が不満なのかと思えるほど充実しているのだ。

まず、クラリオンがこれまで上位機に採用していた「Smart Access」にエントリークラスとして初めて対応した。「Smart Access」は、ドライブに役立つ情報を提供するクラウドサービスで、スマートフォンのアプリとカーナビが連携することで、リアルタイムな情報を活用できるのがポイントだ。

使い方は、対応アプリを管理する「Smart Access」という無料アプリをスマートフォン(スマホ)にインストールし、専用ケーブルでカーナビと接続することから始める。この状態で「Smart Access」を起動すると、スマホに入っている対応アプリが本機のモニター上に表示され、見やすさと使い勝手に大きく貢献する。結果として安全運転にも貢献するというわけだ。

アプリは、音楽や動画、インターネットラジオ、SNSなどなど。YouTubeの動画を連続再生できる「LoopTube」など新作アプリも続々と追加されている。普及価格帯を実現しているだけに、スマホを使った新しいドライブのスタイルを体験するには格好のモデルとなりそうだ。

なお、この「Smart Access」に対応しているスマホは、iPhone4S/4(iOs5.0~6.1.3以降)、Android(OS4.0以降)でHDMI出力(ケーブル別売)に対応する機種が対象。iPhone5は今のところ非対応というのが残念ではある。

◆ガイドブック感覚で使えるマップルナビ5採用

地図データは8GBマイクロSDHCカードに収録。2013年春版の「マップルナビ5」を採用し、約130冊分の観光ガイドブックデータが収録されているのは大きな魅力だ。「まっぷる おでかけBANK」によるその膨大な観光情報はガイドブック感覚で使え、カーナビに不慣れな人でも簡単に使いこなせるのがいい。出掛けた先でも大いに重宝することとだろう。

また、「まっぷるマガジン」などの「NaviCon」対応アプリで見つけたスポットをカーナビ転送し、目的地に設定することもできるのも見逃せないポイント。「NaviCon」対応アプリは既に250アプリを超え、それらを駆使すれば普通のカーナビでは探せない超マニアックなスポットも楽に目的地として設定できてしまうのだ。

◆ジャイロ/車速パルス対応でナビ精度も大幅アップ

個人的にNX513で最もありがたいポイントと感じているのが自車位置の測位方式の改良だ。本機になって、やっと車速パルスとジャイロセンサーも併用することになったからだ。「何を今さら…」と言われそうだが、前モデルのNX512まではGPSによる測位のみだったのだ。

実は海外モデルではインダッシュ型ナビでもGPS測位する機種が数多い。グローバルモデルとしての誕生した本機の海外版もGPSだけで測位する。しかし、日本市場ではそれが通用しない。そこで、日本市場で受け入れられるよう、特別に改良を加えたというわけだ。

NX513で都内を走行すると、明らかに今までとは違う安定した測位を見せるようになった。高架下を走行しても自車位置が停止することなく、正確に現在地を捉えていく。トンネル内での分岐にもきちんと追従していた。NX512以前の測位状況とは桁違いに安定しおり、これなら高層ビル街を走行する機会が多い使い方でも安心して使えるだろう。

◆エントリーの価格帯ながらエントリー機を超える機能充実ナビ

操作系はスマホ感覚で扱えるフリックオペレーションを採用。感圧式なのでスマホ並みの動きとまではいかないが、地図のスクロールやAVメニューの操作はフリック操作で、地図の縮尺変更はピンチイン/ピンチアウトで操作できる。ただ、ドライバーにとってこの操作は左手で行うこととなり、一般的に使いやすいかどうかは微妙。個人的にはアイコンタッチによる操作の方が確実で使いやすいと感じている。

モニターは6.2型ワイドと、上位モデルと比べて少し小さめではあるが、高精細なWVGAにより地図もくっきり鮮明。これを活かしたAV機能は、エントリークラスとは思えない充実ぶりだ。地デジはワンセグとなっているが、チューナーは内蔵型となり、画質も大幅に向上。この画面サイズなら許容範囲だろう。むしろ遠方まで安定受信できるワンセグならではの特性は車載機にとってベストな組み合わせと考えてもいいぐらいだ。

そして、VRモードに対応したDVDドライブも前モデルからの大きな進化点だ。日本で放送されている地デジを含むデジタル放送を録画する場合、著作権保護技術としてCPRMが使われるが、これをDVDにき記録するにはVRモードでの保存が前提となる。日本で販売されているカーナビはほぼこのモードに対応済みだが、海外モデルをそのまま転用していた前モデルまではこれに対応していなかった。本機はその部分を日本市場向けに見直し、きちんとVRモード対応としたのだ。だから本機では地デジを録画したDVDもきちんと再生して楽しめる。これは大きな進歩として受け入れられた。

音楽系ではCD/USBメモリーに保存したMP3/WMA、iPod/iPhoneも再生できる上、Bluetoothオーディオにも対応しているのでコードレスでスマホ内の音楽を楽しむことができる。もちろん、携帯電話のハンズフリー通話も可能だ。

ここまででNX513がいかに機能面で充実しているかが分かっていただけたと思う。このスペックはもはやエントリー機とは思えない充実ぶりなのだ。インストールされたナビアプリも十分に使いやすいし、身近な価格で納得がいくナビとして超オススメの一台に仕上がったと言っていいだろう。

《会田肇》

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