結論から言うと、フィエスタはかなりマニアックなクルマに仕上がっている。フォードブランドのBセグメント(コンパクトカー)というポジションもそうだし、997cc、3気筒という直噴式ターボユニットもそうだ。
しかもそれでいて走りがいい。ワインディングでの動きは明らかにクルマ好きが好むようなセッティングにしてある。クイックでかつフィーリングのある電動ステアリング、操舵感と一体化するボディ、懐の深いリアサスのセッティングなんかはまさにソレだ。
が、一歩海外へ踏み出すとこれがメジャーな存在ということがわかる。72万台オーバーを売り上げた2012年はクラストップに輝いたし、このエンジンも2年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞した。もはやこいつは世界基準なのだ。
ただ、突っ込みどころもたくさんある。ナビゲーションシステムはもちろん、同クラスと比べ電子デバイスは少々物足りない。それにプライスも「勝負に出た!」感はない。ということまで踏まえると、フィエスタはやはりマニアックなクルマとなる。でもそこが魅力。みんな同じじゃつまらないから。第三の選択肢としての存在は大きい。それに何度も言うが、走りはいい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
東京・自由が丘出身。新車のインプレッションから海外ブランドのヒストリー、カーカルチャーまで幅広く活動。特に英国車、英国文化に造詣が深い。趣味はゴルフとマリンスポーツ。日本葉巻協会員。