国交省、大沼脱線後3度目の改善指示…JR北海道問題

鉄道 行政

国土交通省の瀧口敬二鉄道局長は11月29日、JR北海道に対し「保安監査の結果による当面の改善指示について(その3)」を発出した。函館本線大沼駅での脱線事故後に同省が発出した改善指示は、これで3度目。

JR北海道は、9月19日に大沼駅で発生した脱線事故を受けて線路の緊急点検を実施したところ、「多数の箇所において、会社で決めたルールどおり線路の補修作業がなされていなかったことが判明」したと発表。国交省も9月21~28日と10月9~12日に保安監査を実施し、これを受けて10月4日と25日の2回に渡り改善指示を発出した。しかしその後、レール幅のずれ(軌道変位)に関する検査データを改ざんしていた疑いが発覚。国交省は11月14日から3度目となる保安監査を無期限で実施している。

今回の改善指示では、利用者が増加する年末年始を前に「安全で安定的な輸送を全うするための対策を早急に策定」し、その内容を12月10日までに報告することを求めた。さらに安全対策の前倒しを求め、本年度第4四半期と2014年度の予算計画を早急に策定して2014年1月末日までに報告することも求めている。

また、1度目の改善指示で「本社軌道部門においては、現場における保守管理体制の構築のための指示を行うとともに、現場の状況を常に把握し、迅速に必要な対応を取る体制を構築すること」としていたが、社内での指示文書の発出にとどまっていることが認められたとし、改めて現場との連携を確実に行う体制などを整備するよう求めた。

このほか、車両部門で「委託業務の品質の確保を図るために定めるべき受託者の選定基準が定められていない」などとし、受託者の適切な選定基準の策定などを図るよう求めている。

JR北海道の野島誠社長は今回の改善指示を受け、「保安監査が継続しているなかで、3回目の改善指示をいただきましたことを大変厳粛に受け止めております」としたコメントを発表。年末年始輸送については「総力を挙げて安全で安定的な輸送を全うするための対策を講ずる」とした。

《草町義和》

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