【イクリプス AVN-ZX03i インタビュー】車載器づくりのノウハウとグループの強みを活かしたクラウド活用音声対話エージェント

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品

富士通テン SS技術本部サービス技術室長 沢田輝氏
  • 富士通テン SS技術本部サービス技術室長 沢田輝氏
  • 富士通テン 製品企画室 CIビジネスグループ主査 森村準氏
  • 富士通テン イクリプス AVN-ZX03i
  • 富士通テン イクリプス AVN-ZX03i
  • 富士通テン イクリプス AVN-ZX03i
  • 文字入力のフリック操作にも対応した
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富士通テン・イクリプスは、2013年の秋モデルとして9型大画面の“ULTRA AVN”の新製品、『AVN-ZX03i』を発表した。9型という大画面ディスプレイを持つにも関わらず、幅広い車種に対応する従来モデルの長所を受け継ぎながら、クラウドを活用した音声対話エージェント『CarafL(カラフル)』やフリック操作機能の充実など、昨今のトレンドを捉えた新機能で実用性をさらに向上させている。

今回、同社の製品企画室CIビジネスグループ主査の森村準氏とSS技術本部サービス技術室長の沢田輝氏に登場いただき、その商品企画の狙いについて話を聞いた。(本文中敬称略)


◆幅広い車種に対応して選択肢を拡大

----:この秋モデルの登場で商品のラインナップがZシリーズ/Liteシリーズと明確になりました。こちらの商品展開についてまず考え方をお聞かせください。

森村:イクリプスのAVNは、「安全」を第一に製品作りを行っています。Zシリーズは「つながる」テクノロジーで「安全」「便利」をさらに追求し、Liteシリーズはカンタン操作と使いやすさで「安全」「便利」を提供します。

----:幅広い車種に対応する9型大画面ナビとして好評を博した『AVN-ZX02i』の後継モデルを開発するにあたり、狙ったポイントはどのようなところでしょうか。

森村:センター連携の「つながるサービス」が大きい部分ですね。スマートフォン向けアプリの『CarafL(カラフル)』と、取扱説明書アプリ『どこでもサポート』のふたつを提供します。

----:周辺取り付けキットも含め、昨年モデル「AVN-ZX02i」で9型の需要は大きかったのでしょうか。

森村:適用車種を増やすことで多くのユーザーから関心を持っていただきました。「私のクルマに装着できますか」と質問されることが多かったですね。コンパクトカーや軽自動車もファーストカーとして乗るという方も増えていますので、そういった車種にも可能な限り対応できるように努力しました。

----:今年の夏には、大ヒットしているホンダ『N BOX』向けの取付キットを発売しました。9型でも結構インパネに入るもんなんだなぁと感心してしまいました。N BOXが可能なら、ダイハツ『タント』や『スペーシア』といった、人気を博しているいわゆる“モアスペース”系の軽自動車には対応したいところですね。

森村:コンパクトカーはパッケージングが非常にシビアですので、インパネ裏のスペースも限られます。にもかかわらず、設計陣はがんばって開発してくれています。売れ筋のクルマにも何とか対応しようと検討中です。


◆簡単さ分かりやすさで選んだWi-Fi対応

----:ここからは、注目のエージェント機能、カラフルについてうかがいます。このサービスで新しいのは、スマートフォンを使って目的地を探すために、Wi-Fi(無線LAN)を使っていることだと思いますが、ハンズフリーで使うBluetoothとは別にWi-Fiを採用したきっかけについてお聞かせください。

沢田:理由はいくつかありますが、一つは汎用性ですね。イクリプスでは05年から「ケータイリンク」を採用していましたが、機種ごとの差異を吸収するのが難しく、とくにインターフェイスの部分は一番苦労しました。A社のスマホは動くが、B社動かないといった状況がしばしば出ることがあり、結果として生じる検証の時間と労力は大きかったように思います。できるだけ汎用性のあるものを使いたいということで今回はWi-Fiを選びました。

もう一つは、スマホを使っている人の大半がWi-FiならONにしていることが多く、Bluetoothよりも利用頻度が高いと考えたのです。これまでBluetoothで、「乗車したら接続する」ことを勧めてきわたわけですが、実際はなかなかONにしてくれない。使うまでの過程が煩わしかったからだと思います。よって、ユーザービリティの面からもWi-Fiの方が便利なのではないかと考えるに至ったのです。Wi-Fi接続は汎用性に優れており、今後主体的に展開する意味でもWi-Fiを重視していきたいと考えています。


◆認識率とクルマでの実用性にこだわる

----:カラフルですが、スマートフォン内蔵のマイクではなく、車載マイクを通しているのはどうしてなのでしょうか?

沢田:車載マイクを使うことで認識率を上げることができるためです。スマホは置き場所によってうまく音声が拾えず、また運転中はスマホを持って話しかけることはできません。車内では認識率の問題と、安全・安心という両面から車載マイクの装着を前提にしています。

----:音声認識システムで他社との違いはどこにあるのでしょうか?

沢田:当社も音声認識には長年取り組んできましたから、クルマ向けの音声認識活用の運用方法ではかなりのノウハウの蓄積があります。たとえば、トイレを探すとき、我々のシステムではコンビニとかクルマが駐められる場所だけに絞って答えを出します。他の認識システムではそういった部分までサポートはできていません。クラウドサービスというと発話から返答までの反応速度に注目しがちですが、実際に使える答えが出せる配慮を重視しています。

----:その欲している情報を探し出し、ドライバーに提示する技術はデータベースによってもたらされるものなのでしょうか?

沢田:たとえばトイレの情報は、多くの場合、画面上では付加情報として見られるものでも、それが検索条件として用意されていないことがほとんどです。一般のナビでは、「たばこが買えてATMがあってトイレのあるコンビニ」という検索はできませんよね。我々のシステムでは、地図メーカーとも協業してクルマにフォーカスしたデータベースを持っているため、そのような検索も可能なのです。そういった使い勝手の面で差別化ポイントがあると考えています。


◆まだまだ良くなるカラフル

----:ところで、カラフルには他のカーナビにはない遊び心がありますね。もう10年近く前のことになりますが、イクリプスのナビには「日向エリ」というキャラクターがいたと思うんですが、イクリプスにはエージェントによるナビゲーションを志向する風土が根付いていたということでしょうか。

森村:それは2004年の『AVN8804HD』に搭載されていたエージェント機能ですね。この時も元旦は和服、夏はTシャツに着替えたり、髪も伸びたりもするというので各方面からずいぶん注目されました。

----:確か、好みの料理を記憶してくてれ、その関連のレストランに近づくと教えてくれたりしたんですよね。髪の毛がなびいたりして、結構リアルな動きしてましたよね。ちょっと顔つきも日本人形みたいで独特でした。

沢田:その開発に携わっていたスタッフたちは、いまでも当時の記憶を持っているようでして、「あれをもう1回やりたい」との思いがあったようです。一旦やり始めると、これがあるがゆえに担当者のモチベーションがすごく上がってきましたね。

----:エージェント機能が約10年ぶりに別のキャラクターで復活したので、ぜひ継続して育てて欲しいな、というのが私の思いです。

沢田:今後は、エージェントにもいろんな機能を持たせていきたいとも思ってます。実は、ゲーム機でも使われているモーションエンジンを積んだりしてかなりこだわって制作しているんですよ。

----:このエージェントを使うのにスマホの能力は高い方がいいのでしょうか。

沢田:それほど高いスペックは必要としていません。そんなに重い処理はしていませんから、普通のアンドロイド端末でも問題なく使えるはずです。このアプリは無料ですので、ナビをお持ちでない方でも利用できます。ぜひとも多くの人に使っていただき、そのキャラの成長ぶりを通してイクリプスのZシリーズに関心を持ってもらいたいと思ってます。


◆車載器作りのノウハウとグループの強みを活かす

----:カラフルにはユーザー登録機能がありますが、登録することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

沢田:アプリの利用にユーザー登録は必須ではありませんが、登録することで利便性やエンタメ性がアップします。まず名前を呼んでもらえるようになります。また、スマホ上にレベルゲージがありますが、利用するほどにこのレベルが上がり、高いレベルになると発話する中身が変わったりします。

----:ユーザーの使用状況をもとに、より良いサービスにつなげていくというわけですね。

沢田:もちろん、個人を特定するような情報は除いた上でサービス向上に役立てていきます。

----:このエージェント機能に搭載されている音声認識システム、ハード面ではどのような特徴があるのでしょうか?

沢田:特別に感度の高いマイクを使わずとも、音声の処理によって高い認識率を確保していることです。センター側の処理で精度の高いノイズキャンセル処理ができる技術で、弊社が3年ほど前からずっと独自で研究開発してきたものです。特別なハードウェアは搭載していないので、カーナビ側としてのコストはほとんどかけずに済んでいます。

----:音声認識システムとして、マイクの取り付け位置は重要だと思いますが、どこを推奨しているのでしょうか?

森村:発話音声の集音がしやすい運転席前のステアリングコラムの上を推奨しています。コラムの上なら距離も適度ですし、エアコンの風の影響も小さいのです。マイクはハンズフリー通話にも利用可能です。

----:ケータイリンクから、iPhone向けの連携アプリの提供、そして今回のカラフルと、沢田さんはさまざまなカーナビ連携を取り組んでこられましたが、この数年で、ナビ連携機能の企画開発で考え方で変わったというところはありますか?

沢田:数年前は、世の中にないもを作ろうという意識が強かったのです。今回のエージェント機能についてはすでに各社が取り組んでいることですが、当社の長年にわたる車載器づくりのノウハウと、富士通グループの強みを活かしたクラウド活用の組み合わせという新しさがあります。また、音声対話型アプリという部分で、育てながら機能を高められるものにしています。現在でも十分実用的には胸を張れますが、今後もさらに積み上げて、より楽しく・使いやすくサービスを提供していきたいですね。

なお、富士通テンは、11月23日より一般公開がスタートする東京モータショーにもブースを構える(西展示棟4階 西3ホール)。今回紹介したAVN-ZX03iも含むイクリプスAVN各機種やセンサーやECUなどの電子機器を出展するほか、プレゼンテーションステージも披露される予定だ。
《会田肇》

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