歩くより速く走るよりラクチン…超小型モビリティが実現する新ビジネスの可能性

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登壇した土屋愛自氏(さいたま市環境局環境共生部)
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歩くより速く走るよりラクチン 「超小型モビリティ」が実現する新ビジネスの可能性

『超小型モビリティ』をテーマに産官の専門家が集うカンファレンスが11月11日ベルサール神保町にて開催された。会議の議題は「新しいクルマ×新しいクウカン×新しいクラシ」。

2人しか乗らない。30分も走らない。にもかかわらず家の自動車はヘビーで効率的ではないだ。そこで、「1.5人分のクルマ」へのニーズを満たす『超小型モビリティ』への期待が高まっている。しいてカテゴライズすれば軽自動車と自転車の“あいのこ”とも言えるカテゴリーだ。

国家財政が逼迫する中での交通事業収益の悪化、COP19を控えた環境意識の高まりを背景に超小型モビリティが「最も人間らしい移動の実現と環境性の両立」を可能にする、と期待されている。

カバーできる潜在市場とは?

現在クルマの利用場面の多くは乗車人数1~2人。走行距離は約6割が10キロ以内。利用のピークは10分から15分程度である。つまり現在の自動車ではカバー(最適化)されていない乗り物がありうるという。

国土交通省自動車局環境政策課の永井啓文氏は「超小型モビリティは、移動の負担が大きい地域でも、短距離の移動を最適に分担できる」と指摘する。

「走行距離と移動にかかる抵抗(気候、起伏、加齢、荷物等)を二軸に座標をとると、超小型モビリティが分担すべき領域が見える)と定量的根拠からみちびいた結論だという。徒歩、自転車、公共交通の隙間を補完しうるインフラになりうるして、その利点を説く。

◆どこを通ればいちばん愉しい? 観光地に軌跡をしるす

では、超小型モビリティはだれのどんなウォンツを満たすのだろうか。

特に、道が狭いために訪ねることが難しい歴史的観光産業にとっては希望の光だ。「従来、企業の保有地だったが個人客の日帰り観光地に変化している地域は多い。超小型モビリティは、このように変化する観光仕様に対応できるツールにもなりうる。また、観光地でなくとも人のつながりが希薄な都市においてコミュニケーションのきっかけになりうる」と横浜市温暖化対策統括本部の吉田雅彦氏は述べる。

さらには横浜市と日産自動車が共同で実証実験をおこなっている「チョイモビ」のように、GPSを搭載し交通履歴情報を活用することで都市観光に人気の高いゴールデンルートを知らせることもできるようになるという。「次に乗る乗客が予約する時に観光のヒントを提供できる」(吉田氏)。

観光のみではない。小回りがきくため小さい道に入れるという長所を生かして満たすことができるニーズは幅広い。

たとえば、高齢者には楽な外出機会を与えることができ、自立共助を促せるのではないか。小口物流の効率化へも多大に寄与するのでは。すると在宅時間の短い層へのサービス充実に繋がる。

また「もっと手軽に子どもを送りたい」けれども「駐車場がない。車が大きすぎる。ガソリン代がもったいない」という母親世代のニーズに現在は応えられていないことを指摘された(永井氏)。さらに議論はビジネスにとどまらず、地方の防犯パトロールへの活用も挙げられた。

◆試乗客の声、三年後の普及の目処は

現在、吉田氏によれば、横浜市港北ニュータウンで一世帯一台のキャンペーンなど既に試乗は済んだ段階にきているという。試乗におけるフィードバックは好評で、高級車の所有層や女性には高い関心をもたれているという。

ただ一方で中山間地域の安全性、6歳未満のこども用チャイルドシートの搭載、横側面がないため冬の利用がきびしいことなど、解決すべき目標も山積している。

政府の支援期間は明確ではないが「少なくとも3年」と言われている。将来的により強力な普及支援が得られるためには、これから3年間にどこまで成果があげられるかが肝となるようだ。

《北原 梨津子》

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