【国際ロボット展13】磁気ナビゲーションを利用したパーソナルモビリティなど大学の研究成果も目白押し

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宇都宮大学のユニークな自走式イチゴ収穫ロボット。トチオトメのような高級イチゴを傷つけないで摘み取れる(写真1)
  • 宇都宮大学のユニークな自走式イチゴ収穫ロボット。トチオトメのような高級イチゴを傷つけないで摘み取れる(写真1)
  • 宇都宮大学のパーソナル・モビリティ電動ロボット「Nena」。特許を取った磁気ナビゲーション移動方式を利用している(写真2)
  • 岐阜大学の遠隔操作型枝打ちロボット。実際に林業で用いられる伝統的な「ぶり縄」と呼ばれる木登り法をベースに昇降する(写真3)
  • 姿勢制御の仕組み。2対のアームで車輪位置を調整することで、幹径が変化しても対応できる機構にした(写真4)
  • 大阪大学の小型点検作業ロボット「ASTERISK」。シンメトリックな6本の肢機構を備え、状況に応じて肢を腕や脚として動作できる(写真5)
  • 中央大学の月惑星表面探査ローバ。太陽光パネルを取り付けて、動作できるようにするとのこと(写真6)
  • 芝浦工業大学はサービスロボット「サッチャン」を展示。愛嬌のある笑顔で迎えてくれる。韓国製だが、ソフトウェアに手を加えている(写真7)
11月9日まで東京ビッグサイトで開催されている「2013国際ロボット展」では、大学で開発されたモビリティ関係のロボットなどが紹介されていた。

宇都宮大学では、果実に触れずにトチオトメなどの高級イチゴを摘み取れるユニークなイチゴ収穫ロボットのデモを行なっていた。このロボットのポイントは自走式であること。従来のイチゴ種集ロボットは農場に架設を構築し、その範囲内での摘み取りしかできなかったため自由度がなかった。このロボットは可搬性があり、どこでも運べて動かせるため適用範囲が広がる。また一般的な栽培棚の間隔に合うようにロボット本体の幅も70cmに抑えて設計している。

XYZ3軸方向に動くスカラー型のマニピュレータを装備し、熟したイチゴの枝をカッタでせん断すると同時に、果皮に触れずにホールドする機構を設けて、摘み取ったイチゴを回転式の収納台(100個まで収容)に運ぶ。この際、イチゴの選定もカメラによって行なう。画像処理で明度と色分布を解析し、イチゴの色を正確に抽出することで、熟しているものだけを収穫するという。すでに一般農家で実証試験済みで、良好な結果が得られているそうだ。

また、「つくばチャレンジ」で完走した技術を搭載したパーソナル・モビリティ電動ロボット「Nena」も注目を浴びていた。現在つくばは国内で唯一、人が生活する実環境でのロボット実験が可能な「モビリティロボット特区」に指定されており、ロボットナンバー(原付)を取得すれば自走ロボットの実験が行なえる。宇都宮大学は、大学として初めて実験免許を取得した。

このロボットの大きな特徴は、移動方式に磁気ナビゲーションを利用していること。これは同大学が独自に開発したもので、屋外にある鉄骨などの磁性体が発する磁気ノイズをランドマークとして用いてしまう方法だ。通常、磁気コンパスを用いると磁場が乱れる地点で走行が乱れてしまうが、逆にこの磁気ノイズを目印にしてしまうという逆転の発想。これは特許技術になっているという。実は、この磁気ナビゲーション方式は、冒頭で紹介した自走式イチゴ収穫ロボットでも用いられているそうだ。

地域ならではのニーズともいえる、ユニークな遠隔操作型の枝打ちロボット(写真3)を展示していたのは岐阜大学。枝打ちは良質な木材生産には欠かせない作業だ。昇降方法は、実際に林業で用いられる伝統的な「ぶり縄」と呼ばれる木登り法をベースにした自重利用方式を採用していた。木の高さによる幹径(下は太く、上は細い)の違いで、姿勢が変化しないように、2対のアームで車輪位置を調整できる機構も付いていた。

実作業では、切断用の刃物が装備されるが、展示ブースでは危険防止のため取り付けられていなかった。この刃物は切断中に枝に挟まれて動かなくなることがある(枝噛み)。これを防ぐために、枝噛み発生時にガイドバーがスライドする機能を有していた。林業関係者が高齢化する中、このランバージャックのようなロボットは、作業の負担を軽減してくれる心強いツールとなるだろう。

大阪大学では、6本の肢機構を備えた小型点検作業ロボット「ASTERISK」を出展し、その動態デモを行なっていた。4自由度の肢をもつ6本の腕脚を、それぞれが胴体を中心に放射状になるように配置。これにより全方向に対してシンメトリックになるため、同じような作業領域を持てる。また状況に応じて、肢を腕や脚として動作させることも可能だ。また全方位に移動できるため、操作性・移動性にも優れている。

このほか中央大学では、月惑星表面探査ローバを展示していた。どちらかというとハードよりもソフトウェアを中心に、ステレオ視をベースにした環境計測や総合ナビゲーションなどを学生が分担して研究を行なっているとのこと。将来的に太陽光パネルを取り付けて動作させる予定もあるそうだ(現時点ではダミー)。

愛嬌のあるサービスロボット「サッチャン」を展示していたのは芝浦工業大学だ。頭部がディスプレイになっており、そこに顔を映して、音声案内サービスを行なう。胸の部分にも大型液晶ディスプレイが付いており、そこにサービスメニューが表示される仕組みだ。ロボットには車輪がついており、プログラムによって経路上を動かせる。また天井にランドマークを貼り付け、自己位置を認識することも可能だ。実はこのロボットは韓国製(FUTURE ROBOT社のFURO)とのこと。ソフトウェアに手を加え、どのような振る舞いをさせれば人が興味を引いてくれるのかということを研究しているという。

《井上 猛雄》

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