【池原照雄の単眼複眼】富士重工、BMW上回る利益率の背景と持続力

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◆最高益の上期は営業利益率13.4%に

富士重工業(スバル)の好業績が際立っている。今期第2四半期累計(4-9月期)連結決算は、売上高および各利益段階ともすべての半期を通じて最高になった。売上高営業利益率は何と13.4%と、2ケタに乗せた。円高の修正効果と主力の米国販売の好調によるものだが、プレミアムブランドメーカーと呼べるほどの高収益率だ。

第2四半期累計の営業利益は前年同期比で3.5倍の1507億円だった。日本の乗用車メーカー8社のうち、富士重工は販売台数では最下位だが、この利益額はトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車に次いで堂々の4番目。そして営業利益率13.4%は断トツの首位となる。

10%以上の営業利益率は、日本メーカーでは極めて珍しい。近年では2005年3月期に日産が10.0%とした例があるだけだ。安定した収益力を保持してきたトヨタも戦後の復興期から1967(昭和42)年まではほぼ一貫して2ケタ台をキープしていた(当時のトヨタ自工単独決算ベース)ものの、それ以降は一度もない。

◆トヨタでも近年の最高は9.6%

67年といえば初代『カローラ』を売り出した翌年であり、日本のモータリゼーションが一気に加速していった時代だ。日々販売競争は激化したわけであり、量の拡大とともに利益率は低下した。それでも利益ボリュームは拡大し、日本の大衆にクルマを普及させながら、世界へ打って出る体力を蓄えていったのである。

ちなみに、トヨタの近年の最高は04年3月期の9.6%である。海外に目を向けると、プレミアムブランドで世界トップの販売を確保している独BMWの今年上半期(1-6月)の実績が10.6%なので、足元の富士重工はBMWを上回っている。ただし、富士重工は前年同期との比較では為替レート差による増益要因が872億円にのぼっており、営業利益額の半分強を占める。2ケタ乗せは円高是正がもたらしたものだ。

もっとも、主力の米国では今年(暦年ベース)の販売が5年連続での過去最高更新が確実となるなど、すべてのモデルが売れに売れているという状況にある。第2四半期決算発表の席上、吉永泰之社長は年初に36万5000台としていた米国の販売計画を42万台(前年比25%増)に上方修正したと明らかにした。

それでも現地のディーラーからは「タマ寄こせ」の大合唱という。

◆節約能増などステディな舵取り

だが、日米の工場は年産能力77万台レベルのフル操業にあり、米国に42万台を振り向けるのが精いっぱいというところだ。商機を逸する状況でもあるため、ここで一気に能力増という手もあるだろうが、吉永社長はそこは極めて慎重だ。米国工場は来年から段階的に能力増を図り、スバル車の能力は16年末までかけて年30万台(現行17万台)とする。

国内の2工場も、これまで年1万~2万台規模の「ちょこっと能増」を繰り返してきた。投資がかさむ敷地や建屋の大幅拡張は行わず、レイアウト変更や工夫した設備の導入で、投資を節約しながら能力を増やしてきた。それでも11年6月の社長就任とともに策定した「5か年中計」の最終年度(16年3月期)の目標とした世界販売90万台の達成は、供給力も含め射程圏内となっている。

かつて02~06年度の中計では、商品力の問題などで2度にわたる計画の下方修正、米GM(ゼネラルモーターズ)との提携解消など迷走があった。吉永社長は当時、経営企画に携わっていただけに、足元の利益率を見ても、経営を緩める気にはならないのだろう。為替効果がはがれる来期以降も、2ケタ利益率の体質をキープしながら、隙を見せない舵取りが続くと見る。
《池原照雄》

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