ここ最近、カーナビに採用され始めているのがセンター連携型の音声認識機能だ。音声によるコマンド入力は古くから採用されてきたが、決まったキーワードを入力することが必要だったりして、その使い勝手の悪さから利用されることはあまり多くなかった。それでも「普通に会話しているだけで目的地を探してくれたらいいのに…」そう思っていた人は多いはずだ。センター連携型の音声認識機能はそんなところに着目して開発が進んで来た。
◆センター連携型の音声認識機能「Carafl(カラフル)」でオペレーターサービスのような使い勝手
そんな中、富士通テンが最新の9型大画面モデル、イクリプス『AVN-ZX03i』に採用したのが「Carafl(カラフル)」である。
ナビとスマートフォン(以下:スマホ)をWi-Fi接続し、スマホ用無料アプリ「CarafL(カラフル)」を起動すると、画面には女性キャラクターが登場する。「この近くに空いている駐車場ないかなあ」「トイレに行きたい」のような自然な発話を認識して、最適な候補を表示、さらには目的地設定まで行ってくれるという仕組みだ。このやり取りはまるで高級車によくあるオペレーターサービスのようだ。
◆認識精度と使いやすさの決め手は「意味理解エンジン」
このシステムで重要なのは、「意味理解エンジン」だ。たとえば、目的地を検索した後で天気を聞くと、その流れから“ドライバーは目的地付近の天気予報を知りたいと思ってる”と理解して答えを出す。また、最初に探した駐車場が満車となっている時でも、“駐車場”のフレーズなしで「空いているところを探して」とだけ聞けば、最新の満空情報から駐められる駐車場を案内してくれる。これが従来の音声認識システムを超える使いやすさを実現しているというわけだ。
この女性キャラクターは状況に応じて様々な反応をするユニークさも発揮する。都道府県ごとにその地域を表すようなコスチュームを準備し、県境を越えるとそれが使えるようになる。一度、その都道府県を訪れるとコスチュームをゲットしたことになり、いつでもコスチュームを指定できるようになる。また、画面のキャラに対し、タッチしたりするとくすぐったそうな反応を見せたり、場所によっては怒ったりもする。ちょっと“オタク”っぽい機能ではあるが、開発者の遊び心を感じ取れる一面だ。
◆「どこでもサポート」でナビの使い方をサポート
カーナビ側の操作は、今や採用が当たり前になりつつあるスマホ流のフリック&ドラッグ。操作してみるとその動きがとってもスムーズであることがわかる。今までは地図画面だけのフリック&ドラッグ操作だったが、本機ではメニューや文字入力でもフリック動作が可能となり、それに合わせてデザインも改められた。文字入力でも反応が極めて良好で、9型大画面による表示の見やすさも改めてそのメリットを実感できる。スマホに使い慣れた人はもちろん、使っていない人でもストレスなしで扱えるだろう。
AVN-ZX03iはイクリプスブランドのフラッグシップであり、AVからナビに至るまでその機能は豊富。最先端な部分を備えるものの、「もしかしたら使いこなせないのでは…」と不安に思う人も中にはいるかもしれない。でも安心していい。
富士通テンでは、「AVN Zシリーズ」向けにもう1つの専用アプリ「どこでもサポート」を提供している。これは言ってみれば、電子版取扱い説明書なのだが、単に電子化しただけではない。使い方が分からない項目をスマホ画面で選ぶと、自動的にナビ画面がその操作を実行してくれる。今までのように、取説を見ながら順を追っていくなんて作業は一切不要。指示された内容にしたがって操作するだけでいい。これならカーナビ初心者でもすぐに使いこなせそうだ。
CarafLもどこでもサポートも、Android/iOS双方に対応しており、多くの端末に対応していることが強みだ。いずれのアプリも、ナビの使いやすさ向上を主眼に開発されたもので、これまでイクリプスが打ち出してきた“使いやすさ”の魅力をさらに引き上げることに成功している印象だ。ナビを持っていなくても、これらスマートフォンアプリは無償でダウンロードできるため、購入検討の参考にもなるはずだ。