日本ガイシは、東北大学金属材料研究所(仙台市)と共同で、高強度と高導電性の両立を実現した銅合金ワイヤー「ジルコニウム銅ワイヤー」を開発し、サンプル出荷を開始した。
ジルコニウム銅ワイヤーは、銅にジルコニウムを0.5~5.0at%(アトミック・パーセント。原子数の比率)添加した合金を伸線加工した、高強度かつ高導電性の極細ワイヤー。ジルコニウムの含有量や伸線加工の度合いを変えることで、一つの合金で幅広い強度と導電性の組み合わせを得られる。純銅に近い導電性であれば約3倍の強度、黄銅と同等の導電性であれば約3.5倍の強度があるため、直径0.02ミリメートルの極細ワイヤーを部品の導線として使用しても高い信頼性を確保できるという。
このジルコニウム銅合金の極細ワイヤーをコイルやモーターの巻き線、同軸ケーブルの導線として使用すれば、部品の小型軽量化・高効率化が可能になる。また、金属フィルター、メッシュ、放電・切断用ワイヤーなどの極細鋼線が使われている分野への展開も検討されている。
日本ガイシはすでに直径0.02~0.2ミリメートルの極細ワイヤーのサンプル出荷を始めており、電子機器や産業機器、自動車などの幅広い分野での応用を視野に入れ、2015年の量産開始を目指している、とのこと。