ノーマルの『タント』のオススメ度が★×4であるのに対し、こちらは★×3。パワーソースもフットワークも評価が高いのに、どういうことよ、と問い詰められそうだが、本誌の場合、年齢も評価軸もちがう書き手が何人も試乗記をよせる。ゆえ、あえて筆者の意見である。
オススメ度は「★みっつ」。理由はデザイン。タント・カスタムの一番の「押し」部分なのに恐縮だが、こんなにいかつい顔にしなくったって…。だから思う、ノーマルのタントに、ターボ仕様を作ってくれたらいいのにと。ターボの乗り心地はかなりいい。
重いボディをぐいと前へ押しやる頼もしさ。市街地走行で一番欲しい、時速30~40kmでアクセルを踏み込んだときの余裕すら感じさせるトルク。運転が下手だと思う人ほど、トルクのあるクルマに乗ってもらいたいと常日頃から言っているが、交通社会の流れに乗るために、このトルクの心強さったらない。
この安心感を支えてくれるのは足のしっかり感だ。ハンドルの動きから発生する横へのロールを、かっちりと受け止めてくれる心強さ。ノーマルとカスタム、パワステの味付けは同じである。じわっと手ごたえのある操作感は、タイヤサイズの関係でRSの方が重くなるはずなのだが、小気味いい走りのおかげで乗った感触はこちらの方が軽いと感じる。
広さ、使いやすさと、細部にわたり心配りをみせるタントは、価格もちょい上をいく。これでインテリアが軽率だと乗るたびにがっかりするが、そこは織り込み済み。ハンドル、レバー、インパネなどの質感も、かなり力が入っていることを、書き添えておこう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。