オーストラリア自由党女性議員、新閣僚に落胆…「古参の男ばかりの顔ぶれ」

「トニー・アボット氏は保守的である以上にプラグマチック。いくらでも変われる」との前評判だったアボット新政権(未任命)だが、9月16日の新閣僚発表は予想以上に「変わらない」アボット初内閣にな …

エマージング・マーケット オセアニア

自由党女性議員、新閣僚に落胆

 「トニー・アボット氏は保守的である以上にプラグマチック。いくらでも変われる」との前評判だったアボット新政権(未任命)だが、9月16日の新閣僚発表は予想以上に「変わらない」アボット初内閣になった。

 アボット氏は、まだ首相就任式も済まないうちに、自党の女性議員から批判される始末。アボット政権は閣外大臣を含め、総勢42人のうち女性は6人だけ。しかも閣僚大臣はジュリー・ビショップ外相(未任命)1人というさびしさ。アボット氏は、「私も不満だが、議員は全員昇格するためにはそれだけの実績を積まなければならない」と述べている。

 しかし、自由党議員の中でも進歩派として知られるが、2014年7月の新上院議員就任を機会に政界を引退するスー・ボイス上院議員は、「この人事はショッキングで恥さらし。国内的に恥さらしなだけでなく世界的にオーストラリアの恥をさらすようなもの」と口をきわめている。さらに、数を減らしていく自由党人権派議員らしく、「これはアボット新首相が問題なのではなく、自由党組織そのものの課題だ」と批判している。

 また、数人の「ウエット・リベラル」の一人として、何度か議場を横断し、労働党側で投票したことのあるジュディス・トロース元上院議員は、「これは、保守連合が、連邦議会で活動できるプロフェッショナルな女性を擁することができない組織と宣伝しているようなもの。国を運営していくのに女性が男性ほどの能力がないということなのか? 企業やASXには女性を重用するようにと呼びかけながら、政府にはたった一人の女性しかいないというのは偽善としか思えない」と批判している。また、アボット氏の釈明に対しても、保守連合議員には、「有給産児休暇制度を強力に推進したアボット氏の二重基準としか考えられない」と批判する議員がいる。

 1996年、ジョン・ハワード氏がポール・キーティング労働党を破って保守連合政権を樹立した時には記録的な数の女性議員が当選したが、閣僚に指名されたのは2人だけだった。それから17年後のアボット保守連合内閣では女性閣僚はたった一人になった。閣外大臣には、フィオーナ・ナッシュ、ミハエリア・キャッシュ上院議員、スーザン・レイ、マリース・ペイン下院議員が指名されている。また、コンチェッタ・フィエラバンティ=ウェルズ議員が政務次官に指名されている。

 エリック・アベツ保守連合上院幹事だけはアボット人事を擁護し、「保守連合は、男女割当よりも能力優先だ」と語っている。(NP)

「古参の男ばかりの顔ぶれ」

《Nichigo Press》

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