前日に続くダブルヘッダーで開催されたインディカー・シリーズ第13戦決勝(現地14日、トロント市街地)は、スコット・ディクソンが完勝。3連勝を飾り、トロント完全制覇による特別賞金10万ドルも獲得した。佐藤琢磨は終盤の多重事故に巻き込まれて20位。
前日の勝利の余勢を駆ってポールポジションからスタートしたこの日のディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)に、敵はいなかった。インディカーでは初のスタンディングスタートも無難にこなしてトップキープ、その後も独走といえる展開で、終盤になって発生したフルコースコーションによる2回のリスタートも彼の勝利を妨げる障壁にはならなかった。85周の決勝レースを完全支配したといっていい圧勝である。
「トロントで勝ちたいと思っていたが、去年までは勝てず、ダブルヘッダーとなった今年、連勝できて本当に嬉しい。今週は第1レースの予選以外、なにもかもがスムーズに運んだね。次のミッドオハイオは得意コース。4連勝を狙っていくよ」。3連勝達成、トロント連勝によるボーナスも獲得し、さらにはポイントランクで2番手に浮上したディクソンは首位と29点差。03年と08年に続く自身5年ぶり3度目のタイトルの可能性も見えてきている。
ポイントリーダーのエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)が今回2位。そして3位にはセバスチャン・ブルデー(#7 Dragon Racing/シボレー)が入り、前日の2位に続く表彰台ゲットとなった。4位はダリオ・フランキッティ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)、5位はE.J.ヴィソ(#5 Team Venezuela/Andretti Autosport/HVM/シボレー)。
予選15位だった琢磨(#14 A.J. Foyt Racing/ホンダ)は、レース前半のうちに7位まで順位を上げた。72周目のリスタート後に少しポジションを落としはしたものの、トップ10圏内を走っていたのだが、残り2周でのリスタート時に上位のウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)、ライアン・ハンターレイ(#1 Andretti Autosport/シボレー)らの交錯に巻き込まれ、典型的な“もらい事故”でレースを終えることになってしまった(リザルトは20位)。
「チームとして素晴らしい仕事をしたというのに、それに見合わない残念な結果。(最後は)不運だった」と琢磨は語った。そして今後に向けては「エンジニアとチームクルーの努力でマシンは前日より断然速くなっていたが、それでもまだトップグループとは差があったことも事実。さらにハードワークを重ねていかないといけない」と展望している。シリーズランクは13位、首位とは168点差。チャンピオン争い復帰は厳しくなったかもしれないが、シーズン2勝目を目指し、再浮上してほしいところだ。
中2週のインターバルを前に、インディカーはシリーズの約3分の2を終了。調子を上げてきたChip Ganassi Racingとディクソン、そしてホンダが、このままシーズンの勢力図を塗りかえるのかどうか。終盤戦の幕開けとなる第14戦ミッドオハイオは8月4日決勝である。