線路の上を走る「TOYOTA」…JR貨物の「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」

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早朝の山手線五反田駅を通り過ぎていく貨物列車「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」。まさに線路の上を走る「TOYOTA」だ。
  • 早朝の山手線五反田駅を通り過ぎていく貨物列車「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」。まさに線路の上を走る「TOYOTA」だ。
  • けん引機は区間によって異なるが、直流電化区間の笠寺~黒磯間は写真のEF210形がけん引する。
  • 「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」はコンテナ車1両につき2個の31フィートコンテナを搭載。「TOYOTA」の文字が入ったU55A形コンテナが使われている。
  • 搭載されているU55A形のなかには「TOYOTA」のほか「55 BIG ECO LINER 31」の文字が入ったコンテナもある。どちらのコンテナも日本通運が所有している。
  • 「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」は機関車1両とコンテナ車20両編成。全て通過し終えるまでに約30秒かかった。

鉄道と自動車、あるいは鉄道と航空のように、種類の異なる乗り物はライバル関係にあることが多い。その一方で連携することもある。JR貨物が運転している「TOYOTA LONGPASS EXPRESS(トヨタ・ロングパス・エクスプレス)」も、鉄道と自動車の連携といえるかもしれない。

「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」は、名古屋~盛岡間の約900kmを結んでいる。その名の通りトヨタ自動車を荷主とする貨物列車で、中京圏の工場で生産された自動車部品を、トヨタ自動車東日本の岩手工場(岩手県金ケ崎町)まで運んでいる。従来はトラックで輸送していたが、環境負荷軽減策の一環として鉄道貨物輸送への切り替えを図ることになり、2006年11月から運転を開始した。

先頭の機関車とコンテナ車20両で編成を組み、コンテナ車1両につき31フィートコンテナ2個、1本の列車で最大40個の31フィートコンテナを運ぶ。コンテナも「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」専用のものが使われており、青色のコンテナの側面には「TOYOTA」のロゴマークが大きく入れられている。

1日あたりの輸送量は、10トントラック160台分。トラックから鉄道に切り替えたことで年間約1万4000トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減したほか、リードタイムも3.0日から2.25日に短縮したという。

鉄道貨物協会発行の「貨物時刻表」2013年3月ダイヤ改正版などによると、「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」は名古屋臨海鉄道の名古屋南貨物駅(愛知県東海市)で部品を積んだコンテナを搭載して東海道本線の笠寺駅(名古屋市南区)に向かい、ここからJR線に入って盛岡貨物ターミナル駅(盛岡市)に向かう。

運行本数は笠寺発が12時34分と23時40分の北行2本、盛岡貨物ターミナル発が10時14分と21時38分の南行2本で、所要時間は15~17時間くらい。いずれも日付をまたいで運転し、土・日曜(始発駅基準)は運休する。

南行2本と北行1本は東海道本線、武蔵野線、東北本線経由で運転されているが、笠寺発23時40分の北行1本のみ武蔵野線を通らず、湘南新宿ラインが走っている線路を経由して東京都心を通過する。

この北行1本が山手線の五反田駅(東京都品川区)を通過するのは早朝の5時30分頃。ちょっと我慢して早起きすれば、東京都心の駅でも「TOYOTA」のロゴマークが入った青いコンテナを眺めることができる。

《草町義和》

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