あの『SLS AMG』と同じデザイナーが手がけたルックスは“カッコいい”の一言だ。
欧州でもこのクラスはVW『ゴルフ』などがひしめく激戦区だが、先代までのずんぐりしたルックス、フロアが高くなるサンドイッチ構造のプラットフォームを改め、最新のFFプラットフォームを用いた新型Aクラスは上級メルセデスと変わらない迫力、存在感の持ち主となった。
プレミアムコンパクトとしてスタイリングを優先したのか、ドラポジは低くスポーティーで(個人的にはペダル配置に違和感あり)、後席は大人でも不足ないスペースながら、VWゴルフよりはわずかに狭い。前席がスポーティーなハイバックシートで、なおかつショルダーラインが高いため、解放感は薄い。前席優先の仕立てと考えていい。
その走りっぷりは、今ではBMW『3シリーズ』よりスポーティーなんじゃないかと思わせる同社の『Cクラス』に迫る切れ味、上級感さえある。
2ペダルMTである7速DCTはエンジンの動力をダイレクトに引き出し、1.6リットルターボ、122psのA180でさえメルセデスの名に恥じない痛快な加速力を見せつける。パドルシフトによってスピードコントロールも自在。実に走りやすい(アイドリングストップ完備)。
乗り心地は"新世代スポーツコンパクト"をうたうだけに硬めだが、良路であればCクラスに匹敵するしなやかでしっとりしたタッチを示す。ただし段差越えではプラットフォームを共用するBクラスにみられるようなショック・音・振動が認められるのが惜しい。
それでも価格対満足度は極めて高いプレミアムコンパクトと言えるだろう。インパネ回りの仕立てなども超一流である。ちなみにお薦めはブラック、シルバー、グレー系のボディーカラー。カッコ良さ、上級・上質感がさらにアップする印象だ。この点ではVWゴルフもかなわない。2~3人家族の理想的かつプレミアムなジャストサイズ・ファミリーコンパクトであり、メルセデスらしさは先代とは比べ物にならないほど強まった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★
青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。