【メルセデスベンツ Eクラス 試乗】自動運転に近づきつつある安全装備…諸星陽一

試乗記 輸入車
人の形を検知してブレーキが作動する
  • 人の形を検知してブレーキが作動する
  • 白いクルマのドライバーは、ステアリングを操作していない。デモのためサンルーフから両手を出している
  • 飛び出してきたクルマに対してもブレーキを作動させる
  • ドライバーが手を離していても、ステアリングが自動で操作され車庫入れが行われる
  • フロントウインドウに装着されたステレオマルチパーパスカメラ
  • 追突時の注意喚起状態
  • 追突軽減装置の作動を追突しそうになる後方車両より

ビッグマイナーチェンジが行われたメルセデスベンツの『Eクラス』。新型エンジンや従来型エンジンのパワーアップなどが注目されるが、その安全装備の充実も見逃せない。

従来より採用されている「レーダーセーフティパッケージ」と呼ばれるものが、最新の安全装備の核となるシステムだが、かなりの進化を果たしており従来型とは一世代異なると考えていい。レーダーセーフティパッケージはもっともベーシックな「E250」以外の全車に標準で装備される。

まずレーダー。前方は77GHzの中距離レーダーが200m/18度と60m/60度の範囲を担当、後方は25GHzの後方マルチモードレーダーが80m/16度と30m/80度の範囲を担当する。さらに左右の斜め後ろについては25GHzの短距離レーダーが0.2-30m/80度の範囲で左右それぞれを担当している。

さらにステレオマルチパーパスカメラと超音波センサーも取り付けられ、広範囲からクルマのすぐ近くまで、非常に広い範囲をカバーしている。

これらのセンサーによって制御されるさまざまな機能のなかで、もっとも特徴的なのが「ディストロニックプラス」という名のクルーズコントロール。速度の維持や先行車の追従(蛇行しても追従する)といった今や当たり前の機能に加え、ステレオマルチパーパスカメラによって車線を読み取り、ステアリングを自動操作しカーブを曲がっていくという芸当までやってのける。西湘バイパスでこのステアリング自動操作を試したが、ほとんどのカーブで自動操作によりコーナリングしてった。ただし、車線が薄くなるような状況だとカメラが認識しきれずに真っ直ぐ進むこともあった。

自動ブレーキによる緊急停止はもちろん、飛び出し検知や歩行者検知も行う。これらについては駐車場内に設けられた特設ステージで体験したが、見事な作動でクルマが停止した。また、停車している自車に後方からクルマが迫るような状況では、ハザードランプを高速点滅させて後方車に自車の存在をアピールするほか、万が一の衝突に備えてブレーキを強くかけ玉突き衝突の防止を行う。さらにシートベルトが巻き上げられ衝突時の拘束力を高めるようになっている。

従来、縦列駐車のみに対応していた「アクティブパーキングアシスト」は、車庫入れにも対応。ステアリング、ブレーキ、アクセルのすべての操作をクルマ側で行う。実際に乗ってみるとすべての動作をクルマ側で行うので、まさに手放し状態で車庫入れが進んでいく。ただし、アクセルの踏み増しについてはクルマ側は行わないので、坂道や段差などで駆動力が必要な場合はドライバーがアクセルを軽く踏み増す必要がある。

これらの装備は今後登場する次期『Sクラス』にも採用される予定で、今回Eクラスには先行して採用されたことになる。実際に自分で運転してみると、近い将来にクルマの多くの部分が自動運転化されることも可能であるという確信を覚える。

パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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