【トヨタ クラウン ハイブリッド 試乗】シリーズイチ推しはHVアスリート…松下宏

試乗記 国産車
トヨタ クラウン
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14代目のクラウンはハイブリッド車を中心にしたラインナップになった。ハイブリッド車を積極的に展開するという方針の下、新しいハイブリッドシステムを採用して価格を引き下げるとともに、アスリートにもロイヤルにもハイブリッド車を設定するラインナップが構成された。

試乗したのはハイブリッド・アスリートG。新しいハイブリッドシステムは直列4気筒2.5リッターエンジンに電気モーターを組み合わせ、極めて優れた燃費性能を実現すると同時に、従来のクラウンハイブリッドに比べて価格が大幅に引き下げられた。

カムリハイブリッドも2.5リッターエンジン+電気モーターを採用するが、クラウン用とはエンジンの中身に大きな違いがある。

型式やボア×ストロークが同じなので、単純に考えるとカムリ用の横置きエンジンをクラウン用に縦置きにして搭載しただけかと思われるが、実際には全く違うエンジンと考えた方が良いくらい。エンジン型式も厳密に書くと、カムリ用が2AR-FXE型でクラウン用は2AR-FSE型である。

2AR-FSE型エンジンはクラウンハイブリッド専用に開発されたもので、D4-Sの直噴仕様とされたほか、アトキンソンサイクルやクールドEGR(排気ガス循環機構)など、今のトヨタが持ついろいろな環境技術を盛り込んでいる。これにハイブリッドシステムを組み合わせることで、極めて効率の高いパワートレーンに仕上げたのだ。

最新の技術を盛り込んだ結果、JC08モードでリッター23.2kmという低燃費が実現された。車両重量が1600kgを超えるクラウンで、重量1000kgそこそこのコンパクトカーかと思うような低燃費を実現しているのだからビックリものである。この燃費は平成27年度燃費基準+20%に達し、エコカー減税は免税扱いになる。

通常の発進は電気モーターで静かでスムーズに走り出していく。アクセルを踏み込めば必要に応じてエンジンがかかり、力強い加速を実現する。エンジンのオン/オフは、エネルギーモニターを見ていない分からないくらいにスムーズだ。

動力性能の数値は2.5リッターエンジンが131kW/211N・mで、電気モーターは105kW/300N・m。単純な足し算ではなく、システムとして出力できるのは162kWだから、動力性能は従来のハイブリッドに比べたらダウンしているが、代わりに際立って優れた低燃費を実現した。

動力性能の数値が下がったとはいえ、走りが鈍いといった感覚ではなく、余裕十分の走りを感じさせる。

市街地走行から高速クルージングまで、いろいろなシチュエーションを試すと、それぞれのシーンでハイブリッド車らしい静粛性と力強さを兼ね備えた走りを見せた。

4気筒エンジンであることは騒音などの面では不利になるはずだが、それがほとんど気にならない。走らせていて4気筒であることを意識させないくらいの静粛性が確保されている。同時に追い越し加速などではアスリートハイブリッドにふさわしい力強さを示した。

試乗したアスリートGは、新しいサスペンションアームとAVSのサスペンションシステムによって、乗り心地もまずまず快適なものになっていた。ロイヤル系とは異なって引き締まった感じの足回りながら、乗り心地をスポイルしていないのが良い。これはガソリン車とも共通するもので、明確な進化が見てとれる。

クラウンはこれまで、プラットホームは2世代ごとに更新しているが、今回は3世代連続して同じプラットホームが使われた。これは熟成を進めるためで、同じプラットホームでできる限りの改善を施したのが今回のアスリートの足回りということになる。

ただ、試乗車はオプションの18インチタイヤを履いていた。そのためにちょっと硬さが残る印象があった。ガソリン車のアスリートSで試した17インチタイヤがとても良かったので、無理してオプションを装着しない方が良いと思う。

新型クラウンにも最近普及が進んできたプリクラッシュ・セーフティシステムが装備されている。しかし採用されたのは比較的シンプルなミリ波レーダー方式のもの。それを主要グレードにオプション設定(ベースグレードは設定なし)というのだからいかにも腰が引けている。

今回のプリクラッシュ・セーフティシステムは従来の仕様に比べて進化し、誤発進防止などの新機能を盛り込んでいるだけに、全車に標準装備してほしいところだった。

欧州車では150万円を切るup!に、また軽自動車では100万円そこそこのムーヴに、衝突回避支援ブレーキが標準装備される時代である。トヨタの看板車種であるクラウンには、カメラとフュージョンさせて人間認識もできるタイプを採用するなど、もっと積極的な採用が望まれる。

ハイブリッドのアスリートGの価格は543万円で、2.5アスリートGに比べると53万円高の設定だ。アスリートS同士の比較だと、413万円に対して469万円だから56万円高の設定である。この差を燃費で取り戻すのは難しいが、エコカー減税の有無に加え、走りの違いなども含めて考えたら、納得できる範囲に収まっている。

新型クラウンで最もお勧めできるイチ推しのモデルがハイブリッドのアスリートである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。
《松下宏》

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