【JAL定時運航の舞台裏】オンタイム運航が当たり前の国だけど…

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日本航空(JAL)の航空機
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日本人の間では常識となっているが、外国人にとって驚異的に受け取られることが多いのは、「あらゆる交通機関が寸分の遅れも無く、時刻表に書かれた時刻どおりに運行されている」ということだ。この国ではそれが常識なので、例えば通勤に使っている列車が1分でも遅れようものなら途端に落ち着かなくなるし、車掌から駅員まで「遅れまして大変申し訳ございません」という謝罪の言葉を連発させる。

鉄道だけではなく、航空路線も「定時が当たり前」のように思えていたが、昨年あたりから国内での運航が始まったLCC(ローコストキャリア)は「遅れない日の方が珍しい」といった状態だ。少ない機材をやり繰りして運行しているため、どこかで遅れが生じると玉突き状態となり、結果的に空港の門限に間に合わず欠航。翌日にも遅れが波及したというニュースはこれまでに何度も流れている。

その一方、既存の航空会社では余程の悪天候時を除いてはこうしたニュースを聞くことがない。機材繰りに余裕があるというのもあるのだろうが、そこには何か秘訣があるのかもしれない。

定時運行というものがあまりにも当たり前すぎて関心を持つことが無かったのだが、日本航空(JAL)は「2012年における定時到着率が世界一」なのだという。

「アメリカにあるFlightStatsという会社が世界各地にある航空会社の発着データを集め、定時運行率を公表しているのですが、JALグループは2012年の年間集計において、3部門で1位を獲得しました」と説明するのは、JAL顧客マーケティング本部・商品サービス開発部の南良樹さん。

3部門とは、年間3万フライト以上、アジア・アフリカ・ヨーロッパ・アメリカ・太平洋地域の3つ以上の地域に就航している航空会社上位29社を対象とした「Major International Airlines部門」。アジアをベースに、アジア域内で年間3万フライト以上を就航しているアジアの航空会社上位11社を対象とした「Asia Major Airlines部門」。そしてアジアをベースに、年間2万フライト以上を就航しているアジアの航空会社上位11社を対象とした「Asia Regional Airlines部門」のこと。「Major International Airlines」と「Asia Major Airlines」は定時運行率90/35%でJALが。「Asia Regional Airlines」は、同92.58%でグループ会社のJ-AIRが受賞している。

ちなみにJALグループは2010年度の「Major International Airlines」と「Asia Major Airlines」でも1位を記録。2011年度は両方とも全日空(ANA)が受賞したが、2012年度はJALが1位を奪還した。そんなANAも2012年度は2位なので、日本の航空会社の定時運航率というのは非常に高いといえる。

なお、FlightStatsが言うところの「定時」とは、時刻表に掲載しているオンタイム(定刻)の到着スケジュールから14分の遅延までとなっており、時刻表比では若干のマージンがある。これは風向き次第でルートが変わったり、地上滑走のやり取りも考慮したためとみられる。

南さんは「JALには定時性委員会というものがあり、各部署の代表が月に1回のペースで集まって、どのようにしたら定時運航できるのかを協議します」と説明するが、「それでも“これ”という決め打ちのような対策はないのです。JALグループのスタッフ全員が一丸となって、定時に送り出す努力を日々行っています」ともいう。

乗客からは見えない部分におけるスタッフの奮闘に定時運航の秘訣がありそうだ。

《石田真一》

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