出光興産は、2013年度~2015年度の「第4次連結中期経営計画」を策定した。
今回の中期経営計画では、事業構造改革、世界のエネルギー需給構造変化への対応、グローバル化を推進し、飛躍のための事業ポートフォリオの構築に向けて取り組みを進める。
「エネルギー確保と有効利用並びに高機能材のグローバル展開を通じて経済と環境の調和のある社会の発展に貢献する」ことを経営方針に掲げる。
この方針の下、「日本のエネルギーセキュリティとアジア諸国の経済発展への貢献」「出光独自の技術を活かした環境調和型社会への貢献」に努める。
今回の中期経営計画は「構造改革のステージ」と位置付け、連結当期純利益500億円以上の安定した収益構造を構築し、さらに2018年度100億円の目標達成を目指す。
今回の中期経営計画の概要の基本戦略は、基盤事業においては、燃料油供給ショートポジション戦略による競争力ある事業展開、燃料油・基礎化学品事業の国内基盤強化、ベトナム・ニソン製油所をはじめとする海外事業の拡大。資源事業では、石油開発事業での開発拡大、石炭事業でのコスト削減を含む事業再構築、エネルギー需給構造の変化を捉えた非在来型資源の獲得やガス事業参入の検討。高機能材事業では、需要が拡大する分野での事業拡大やグローバル展開の推進、強化分野への経営資源の集中である。経営指標は、2015年度計画が営業利益1500億円、2012年度は530億円で、利益構成は共に、基盤事業40%、資源事業35%、高機能材事業25%。投資総額は、2013年度~2015年度で4500億円。
事業戦略は基盤事業(燃料油・基礎化学品・再生可能エネルギー)の、燃料油事業では、2014年3月の徳山製油所/原油処理機能停止を含む、燃料油供給ショートポジション戦略による競争力ある事業展開、国内販売ネットワーク強化、3製油所体制下での安全操業・効率化の追求と他社アライアンスによる競争力強化、ベトナム・ニソン製油所の建設や海外燃料油事業展開により、国内・海外トータルでの事業拡大を図る。基礎化学品事業では、誘導品まで含めたエチレン系サプライチェーンの最適化、ナフサを原料とする石油化学コンビナートの強みを生かし、エタンフィードエチレンとの差別化を図る芳香族の生産拡大等に取り組む。また、海外化学品事業の検討を進める。再生可能エネルギー事業では、バイオマス発電・メガソーラー発電等の電力事業の拡大、地熱の新規案件開発、インドシナにおけるバイオ燃料の事業化を目指す。
資源事業(石油開発・石炭・ウラン・ガス・非在来型資源)の石油開発事業では、2014年にクナル・Hノルド油田の生産を開始し、2015年度で4万4000B/Dの生産(2012年対比+1万9000B/D)を目指すとともに、探鉱活動を通じ埋蔵量拡大に取り組む。石炭事業では、コスト削減、高品位炭の増産などの事業再構築を進める。またボガブライ鉱山を700万トン/年規模に拡張すること通じ、収益性を高める。ウランについては、2013年度中にカナダシガーレイク鉱山での生産を見込む。非在来型資源の獲得、幅広い分野でのガス事業の検討を進める。高機能材事業(機能材料・電子材料・アグリバイオ・潤滑油)の機能材料事業では、粘接着材・SPS等の強化分野に経営資源を集中する。電子材料事業では、需要拡大が期待される有機ELを中心に販売を拡大する。アグリバイオ事業では、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献する、ニーズ対応型の事業をグローバル展開する。潤滑油事業では、環境対応型商品、地域のニーズに応える商品の開発・販売拡大を進めるとともに、ベトナムなどの海外拠点拡大によりグローバル展開を加速する。
投資戦略は、総投資額4500億円で、全体の75%(3400億円)を戦略投資に配分し、戦略投資の80%を海外案件に充当する。基盤事業においては、ベトナムニソン製油所、国内販売ネットワーク強化、海外燃料油事業、再生可能エネルギー。資源事業においては、クナル・Hノルド油田開発、高品位炭増産、カナダシガーレイク鉱山開発。高機能材事業においては、潤滑油海外拠点、機能材料、有機EL、アグリバイオ関連となる。