日野自動車は電子制御のコモンレール式エンジン搭載車を今回、初めて投入する。ワークスチームのドライバーを務める菅原照仁氏は「燃料噴射量を色んな状況に応じて幅を持たせることができるのが電子制御の強み」と語る。
「例えば山の高いところにいくと空気が薄くなる。機械式だと一定量の燃料が供給されるため空気と燃料のバランスが若干崩れてくるが、それをコンピューターで制御して最適化できるのが大きなポイント」と解説する。
その一方で「埃や泥といった過酷な状況でレースが行われるのがダカールラリーなので、そういったマイナスの要素がどう影響してくるのか現場に行ってみないとわからないところもある。市販レベルでは問題ないが、現地でどういうトラブルが出るのかというのも今回のチャレンジの中に含まれてくる」という。
このためコモンレール式エンジンを搭載する1号車は、照仁氏の実父でチーム代表の菅原義正氏がドライバーを務め、実戦での問題点の洗い出しや次回大会に向けたデータ収集を行うとしている。
一方、照仁氏の2号車は「10リッター未満のクラス優勝を狙うべく、エンジンは昔ながらの信頼性のある機械式で、前回の車をビルトアップした車両で参戦する」という体制で臨む。
日野ワークスチームは「10リッター未満クラスではクラス創設以来、2009年大会を除いて勝ち続けているが、トラック部門総合上位の大排気の車との差が徐々に開き始めているという危機感から、2012年から3年計画で総合5位を獲れる車の開発を進めている」という。