中部電力、トヨタが協力して省エネ・低コストなアーク式取鍋加熱装置を開発

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中部電力 アーク式取鍋加熱装置
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中部電力は、トヨタ自動車、特殊電極と共同で、鋳造工場向けに、省エネルギー化を実現した「アーク式取鍋加熱装置」を開発した。

トヨタ自動車、アイシン高丘のそれぞれの工場でフィールド試験を実施、良好な結果を受けて製品化した。

開発品は、10月15日から特殊電極株で受注を開始した。

鋳造工場では、金属を溶かす溶解炉から鋳型を造る造型ラインへ「取鍋」と呼ばれる耐火容器を使って溶けた金属(溶湯)を運搬、鋳型に溶けた金属を流し込む注湯の工程を経て、製品を取り出し、出荷している。

取鍋は、溶湯の温度低下を防ぐため、溶湯を注ぐ前に内部を予熱しておく必要がある。この予熱作業では、通常ガスバーナーを使うが、ガスバーナーによる予熱では、排気による熱損失が大きいため、多くの時間とエネルギーを要するほか、排熱によって取鍋周辺の雰囲気が高温となることが課題だった。

また、取鍋の定期的なメンテナンス時には、取鍋内側の耐火物を張り替え、耐火物の強度を向上させるため、所定の昇温速度で加熱乾燥を行うが、ガスバーナーでは取鍋内部温度のばらつきが大きくなるなどの問題もあった。

開発品では、従来のガスバーナーに比べて熱源温度が高いアーク加熱方式を採用するとともに、取鍋をほぼ密閉状態にすることで、加熱時間の短縮とエネルギーの大幅な削減を実現した。

アーク式は取鍋内部温度を制御しやすいため、加熱乾燥時、エネルギーの損失を大幅に削減することが可能となる。

トヨタの明知工場で実施したフィールド試験では、エネルギー消費量を95%削減、ランニングコストを51%削減できた。アイシン高丘の本社工場でもエネルギー消費量を91%、ランニングコストを60%削減できた。

ガスバーナーでは、多量の燃焼排気が工場内に放出されて、取鍋周辺の雰囲気が高温になるが、アーク式では化石燃料の燃焼排気が発生しないため、周辺温度の上昇が抑えられ、断熱蓋の設置で騒音も低減できることから、作業環境の改善にも寄与する。

《レスポンス編集部》

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