現行型『レガシィ』は2009年5月のデビュー。モデルサイクルの中間点に達し、力の入ったマイナーチェンジを実施した。
注目されるのは直噴ターボエンジンの「2.0GT DIT」の追加だが、標準の2.5リットルエンジンも新世代エンジンに変更され、リニアトロニックのCVTも改良されたほか、足回りのチューニング熟成が進められるなど、中身の濃い改良が加えられている。
B4では「2.5iアイサイト」に試乗したが、このアイサイトも制御を向上させた進化版の「アイサイト2」が搭載されている。パワートレーンからシャシー、装備までいろいろな部分が進化したのが今回のレガシィだ。
新しくなった水平対向4気筒の2.5Lエンジンは、EJ25型から新世代のFB25型に変わり、ボア×ストロークの数字なども変わった。動力性能の数値はほんのわずか向上しただけだが、その数値に表れない中速域のトルクが厚みを増している。
これによってアクセルを軽く踏んだときにしっかりしたレスポンスがあって、良く走るようになった。リニアトロニックの変速もより自然なフィールになり、スムーズさを増した印象がある。金属チェーンを使ったリニアトロニックCVTに特有の騒音も、ほとんど気にならないレベルに抑えられている。
新エンジンにはアイドリングストップ機構が採用されて燃費が向上している。レガシィB4は全車ともAWDであるため燃費面で不利になりがちだが、試乗した2.5iアイサイトと2.5i LパッケージはJC08モードでリッター当たり14.4kmの燃費を達成し、エコカー減税の対象車になった。
試乗車は本体価格は274万円だが、カーナビなどをオプション装着すると車両価格ベースで300万円を超える。決して安い買い物ではないが、それなりの値打ちのあるクルマだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。